データ活用はなぜ進まないのか 見落としがちな「落とし穴」:「データドリブンセールス」を考える(2/3 ページ)
データドリブンセールスを進めるうえで、どのような課題を抱えている企業が多いのでしょうか。関係者と話をしていると「使ってもらえない」「売り上げが伸びない」といった声が目立ちますが、そうした問題の背景には、ある「共通項」が見えてきました。それは……。
分業による弊害
一般的に企業内では、売り上げを伸ばすために、リード(見込み客)数を増やそうとする部門と、見込み客を育ててからセールスにつなぐインサイドセールス部門、クロージングを担うセールス部門、成約後の継続率を支えるカスタマーサクセス部門など、分業体制で動いています。
先ほどご紹介した「共通項」ですが、各部門ごとのKPIやデータは細かく取得しているものの、「それが顧客価値にどうつながっているのか?」という質問をすると、担当者によって回答はバラバラ。また、連携する他部門と「顧客にどのような価値を提供していくか」という認識についても、すりあわせていないケースが多いのです。
取得したデータの分析などは、社内向けに行っている傾向があって、それは「顧客に向いていない」ということです。顧客への利益につながらないので、データそのものに価値が生まれず、顧客への提供価値につながるアクションや施策が生まれないという「落とし穴」にハマっているのです。
何をすればいいのか
では、顧客に価値を提供するために、どのようなことに取り組めばいいのでしょうか。最初にすべきことは、全体を可視化することです。顧客の業務プロセスであったり、各プロセスごとの課題であったり、ニーズなどから可視化していくのです。
可視化された顧客のプロセスとニーズに対して、各部門は提供できる価値やアクションを記述して、それが数値化できているのかどうかを確認します。さらに、各部門・チームが連携しながら取り組むべきポイントを可視化して、その連携アクションが数値化できているかについても確認します。
こうした取り組みによって、顧客の価値につながるアクションと必要なデータを整理することができます。社内の業務プロセスや施策に問題があれば、見直すこともできますし、取得できていないデータがあれば、どのようにすれば取得できるのかといった計画を立てることもできます。
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