北欧発の人気テックイベントが日本初上陸、その舞台が札幌だったワケ:新たなスタートアップが生まれるか(5/5 ページ)
札幌市の「さっぽろテレビ塔」で、北欧発の人気テックイベントが開催された。2019年からスタートアップエコシステムを本格化させた札幌市では、道内の課題解決に向けて「北欧流」のアプローチを取っているという。なぜ「北欧」に注目するのか。
北海道エコシステムのファン拡大が課題
このように、国内でも珍しく北欧・バルト諸国と連携してスタートアップ・エコシステムの形成を目指す札幌市。思い描いたイメージが形になっている実感はあるが、まだまだスタートアップの数や投資規模は限られている。
「新興のエコシステムに共通の課題ではありますが、スタートアップの数を増やして、ロールモデルを一つでも多くつくらなければなりません。シード/アーリーステージと呼ばれる起業して間もないスタートアップに対する投資もまだ限られています。
これらの解決には、スタートアップ、支援団体、投資家、アクセラレーターなどすべての数を増やす必要があります。今回のようなイベントを通じて北海道のスタートアップエコシステムに触れることでファンになっていただき、関係人口を増やしたいと考えています」(中本氏)
札幌市経済観光局 イノベーション推進課 スタートアップ推進係長の中本氏(写真右)とピッチコンペティションで勝利したデンマーク企業「Tryp.com」のVictor Gram Thomsen(ビクター・グラム・トムセン)氏。ビクター氏は札幌に移り住み、日本展開を始めたばかり(筆者撮影)
筆者はデンマーク本家の「テックバーベキュー」を現地取材した経験があるのだが、「テックバーベキュー サッポロ」からも、その雰囲気を確かに感じた。会場が騒がしく相手の声が聞き取りづらかったものの、本家同様ネットワーキングを促進したい意思も伝わった。一方、規模が小さいので止むを得ないかもしれないが、ピッチ出場企業のビジネスモデルやサービスの成熟度にバラつきがあるのは気になった。
24年以降も「テックバーベキュー サッポロ」は開催予定だという。機能的なスタートアップ・エコシステムの形成に向け、規模・認知の拡大が求められている。
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