パナの「壁掛けテレビ」がじわじわ売れている “置き方”を変えたらどうなった?:水曜日に「へえ」な話(3/4 ページ)
パナソニックの壁掛けテレビがじわじわ売れている。商品名は「ウォールフィットテレビ」。なぜ人気を集めているのか、担当者に話を聞いたところ……。
置き方にこだわったテレビが完成
パナソニック(当時:松下電器)がテレビを初めてつくったのは、1952年のこと(翌53年にテレビの本放送が始まった)。60年代に入って、テレビはお茶の間の中心にどーんと設置され、普及率はどんどん伸びていく。60年代の前半には90%を超えた。
その後、90年にハイビジョンテレビが登場したり、2000年に入って薄型テレビが普及したり。4年に一度のオリンピックが近づくと、メーカー各社は「テレビが売れるぞー」「CMをどんどん流せー」といった具合に、新たな機能を搭載した商品を投入して、熱いバトルを繰り広げていた。
が、それも昔の話。いまや、オリンピックが東京で開催されても、サッカーワールドカップがあっても「テレビ商戦」という言葉を耳にすることがなくなった。それもそのはず。パソコンやスマホでYouTubeやTikTokを見る人が増えたり、リビングでゲームを楽しんだり、キッチンで料理動画を流していたり。ライフスタイルの多様化によって、テレビはお茶の間の真ん中から、少しずつそして確実に“邪魔”な存在になっていったのだ。
プロジェクトに携わったテレビ課の藤永勇樹さんは「生活スタイルが大きく変化しているのに、テレビはどうなのか。『リビングに設置する』『置く場所は限定される』といった昔からのスタイルから変化していないですよね。『動画はネットで見るので、テレビに魅力をそれほど感じない』といった人が増えている中で、これまでになかった『置き方』を提案することができないかと考え、“壁掛け”に注目しました」という。
こうした背景があって、コンセプトが固まった。「どこでも置ける」「スッキリ置ける」「壁に簡単に掛けられる」だ。そして、この3つを満たす形で、置き方にこだわったテレビが完成した。
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