「理想のリーダーになれない」と悩む人が知らない、優れたリーダーが「しないこと」:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
近年、若い世代にリーダーを任せる企業が増えた。その結果、肩に力が入りすぎているリーダーをよく見かける。本記事のテーマは「優れたリーダーは〇〇をしている!」という正解ではなく、「優れたリーダーがしないこと」。その中から見えてくる、リーダーの本来の役割とは──?
ここ数年、若い世代にリーダーを任せる企業が増えてきました。
そんな“若手リーダー”の人たちと接していて感じるのは「ん? 肩に力、入りすぎてませんか?」ってこと。「リーダーたるもの〇〇でならぬ!」といった呪いにがんじがらめになっているといいますか、“リーダー”という立場に縛られすぎているといいますか。
10人いれば10通りのリーダーがいて当たり前なのに、「どんなリーダーなら正解なのだろう?」と外の世界に正解を求める人が多いのです。「私は〇〇型のリーダー」などと自ら、カテゴライズし、せっかくのその人らしさが発揮できてないケースもしばしば。学びは大切ですが、答えは自分の中にあります。それを考え、考えぬくことが大切なのに、もったいないと思うのです。
そこで今回は、「優れたリーダーは〇〇をしている!」という正解ではなく、「優れたリーダーがしないこと」をテーマに書きつづろうと思います。
優れたリーダーがしないこと
まずは結論から。優れたリーダーは決して一人きりで頑張りません。
私がこれまで全国津々浦々、講演会や取材でお伺いした企業の中で、元気で社員が生き生きと働いている企業のトップも、フィールドインタビューに協力してくれた900人超のビジネスパーソンの中にいた優れた管理職も、誰一人として、「一人きりで頑張っている」人はいませんでした。
そもそも「リーダーシップ」を発揮するのに求められるリーダー力は1〜2割です。残りの8〜9割は、「このリーダーと共に頑張っていこう」と心を近づけてくれたフォロワーの力です。リーダーシップとは、リーダーの資質とそのリーダーに従うフォロワー=部下の行動によって決まる現象であり、リーダーの資質以上にフォロワーの質が大きく影響します。
ところが、不思議なことに経営学の世界でも、組織心理学の分野でも、リーダーシップ論のほとんどは古くからリーダーの資質にばかり焦点を当ててきました。攻撃的なリーダー、カリスマ的リーダー、情緒的リーダー、共感的リーダーなど、「リーダーかくあるべき論」です。
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