インタビュー
イオンが“奇跡の魚”を販売し始めた深刻な理由 10年後、寿司店から国産魚が消える?:食文化を根付かせられるか(3/3 ページ)
イオンリテールは3月上旬まで、“ノルウェーの奇跡”と呼ばれるプレミアムフィッシュ・北極圏の天然タラ「ノルウェー産 スクレイ」をイオン、イオンスタイル約60店舗で試食販売している。その理由は?
10年後には寿司店で国産魚が並ばなくなる
今回のスクレイ以外に、日本ではノルウェー産シーフードとして、これまでサーモン、サバも多く輸入している。背景にあるのは水産資源の減少だ。
三國シェフは「このまま日本の漁業減少や乱獲が続けば、10年後にお寿司屋さんにまぐろなど新鮮な国産魚が並ばなくなると言われるほど危機的な状況です」と警鐘を鳴らす。
実際に、宮城県・気仙沼ホヤ大使も務める三國シェフは、気仙沼でもサンマの水揚げの減少が顕著だと話す。そうした背景からも、日本にとってノルウェー産シーフードは新鮮で刺身としても食べられるため、必要不可欠だと見ている。
漁業大国で知られるノルウェーでは、漁業と養殖業は重要な水産資源であり、国が徹底的に管理している。
現在の日本漁業は衰退しているだけに、ノルウェーから学ぶ点も多い。そして、このままでは新鮮なシーフードの輸入が和食文化を守る側面でも生命線になってくるのは間違いない。
今回の取り組みをきっかけにイオンリテールはスクレイを食文化として日本に根付かせることができるか。
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