2015年7月27日以前の記事
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電動キックボードが「免許不要」に 日本の道路事情に合うのか高根英幸 「クルマのミライ」(3/7 ページ)

7月1日に改正道交法が施行される。最高速度20km以下の電動キックボードは、16歳以上であれば免許不要で公道での走行が可能となり、ヘルメットの装着も努力義務となる。それで本当にいいのだろうか。安全性を考えると……。

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キックボードの規制緩和には立役者がいた?

 無法な自転車ユーザーたちすら解決への道筋が見えないのに、電動キックボードを無免許で公道に解き放つのは、危険だと思う人もいるだろう。しかし電動キックボードを普及させるためには規制緩和が必要で、そのために奮闘した人々も存在する。

 その中でも中心的存在と言っていいのが、Luup社(東京都千代田区)である。同社は電動アシストサイクルと電動キックボードのシェアリングサービスを展開していて、全国で自治体や警察と実証実験を行い、電動キックボードの公道における有用性をアピールしてきた。

 また他の電動キックボードシェアリングサービス企業や電動キックボード製造メーカーを巻き込んで、マイクロモビリティ推進協議会という団体を発足し、業界の健全な育成とともに規制緩和を推進したのだ。


(出典:AC)

 電動キックボードの普及を牽引しているだけあって、同社の扱う電動キックボードはそもそもの品質が高いだけでなく、より安全性や信頼性を高めるために幾度も改良を行っている。ビジネスとしての着眼点や実行力は素晴らしいと思うが、筆者はさまざまな媒体で、日本の道路事情と電動キックボードは馴染まないと明言してきた。それは前述の危機意識の薄い、自己都合を優先するユーザーが一定数存在するからだ。

 それに対してマイクロモビリティ推進協議会は、啓蒙活動やシェアリングサービス利用のハードルを上げることで対策してきた。電動キックボードを利用する上で必要なルールをアプリ上でクイズ形式で出題し、クリアーしなければならないようにするなど、法令順守意識を高める工夫を盛り込んだ。

 しかし同社のシェアサービス利用者でも、飲酒運転などの違反者が検挙されたように、気軽に利用できるからこそルールを軽視するユーザーは決してなくならない。

 クルマでも飲酒運転者は摘発されているが、厳罰化されたことはかなりの抑止力になっているはずだ。それこそが法律の目的であり、国民が安心して暮らせる根拠になるものである。自転車を利用している人を見れば分かるように、無免許で運転できる乗り物では、道交法を理解して順守しようという意識は生まれにくいのではないだろうか。

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