2015年7月27日以前の記事
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5年で1兆円の投資がムダに? リスキリングを生かすため、企業に欠かせない「業務デザイン力」とは働き方の見取り図(2/4 ページ)

政府が5年で1兆円を投資すると発表したこともあってか、毎日のように目にするリスキリングという言葉。新しい技術がどんどん生み出される中、学び直しをビジネスシーンでうまく機能させるためには何が必要なのか。

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 他にも、メールアドレスを間違って送付すると情報漏洩になってしまうことの危険性を啓発したり、「ズラズラと長文を書くと読みづらいので30文字程度で改行しましょう」などネット上でのやりとりに不慣れな人が身につけるマナーを「ネチケット」として習得することが求められたりもしました。そんな面倒を伴っても学び直しがきちんと機能したのは、習得した技能がビジネスシーンの中ですぐに生かせたからです。

 同様に、Eメールと同時期に普及したWordやExcelなども、習得に相応の苦労が伴ったものの、技能はすぐにビジネスシーンで生かされて浸透していきました。EメールやWord・Excelの技能は、なぜすぐに生かされたのでしょうか。それは、学び直した人がこれまで担当してきた業務の内容やプロセスに変化がなく、業務遂行する際に利用してきたツールの進化でしかなかったからです。


画像はイメージ

 例えばEメールの場合、電話などで行っていたやりとりをEメールに置き換えたに過ぎません。アポイントの取得という業務内容や、アポイントを取得するためにまずこちらから連絡して先方の都合を確認するというプロセスは同じ。その際に利用するツールが電話からEメールへと換わっただけです。

 同様に、WordやExcelを使った文書作成も使うツールが手書きからパソコンソフトに換わっただけであり、案内状の作成や売上数字の集計など、行う業務の内容も遂行するプロセスも変わっていません。そのため最初は不慣れであっても、ツールに慣れるとともに活用が進んでいき、誰もがEメールやWord・Excelを使う技能を習得してすぐに業務で生かすことができました。

リスキリングは従来の「学び直し」とは根本的に異なる

 以前書いた記事「DX人材の活躍の場はどこに? リスキリングだけでは賃上げが実現しない理由」でも説明しましたが、学び直しには種類があります。いま担当している業務に対処するための能力を高める学び直しはアップスキリング(upskilling)です。

 一方リスキリングは、新しい業務に従事するためや新しい時代に求められるスキル変換に対応するための学び直しを指します。Eメールの使い方を習得するという学び直しは、新しい時代に求められるスキルの変換に対応するという意味ではリスキリングですが、担当している業務の内容やプロセスは変わらず、これまでの業務の延長線上で新しいツールを使って能力を高めるという意味ではアップスキリングでもあったのです。しかし、いま時代から要請されているリスキリングは、必ずしも同じではありません。

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