「獺祭」蔵元が賃金と生産性をアップできたワケ 「賃上げブーム」との決定的な違いとは:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
大企業で賃上げの報道が続いている。しかし、給与が上がるのは大手正社員のみ。物価が高騰しているにもかかわらず、大多数を占める中小企業の社員、特に中高年層の社員の給与は一向に増える見込みがありません。そんな中、経営層は、どんな意識を持って経営すべきなのか。ヒントとして獺祭の事例を紹介します。
このところ連日連夜、「賃上げ」に関するニュースが続いています。
「トヨタに続き、ジェイテクトも満額回答!」「島津製作所、組合員平均5.7%賃上げ」「三菱UFJ信託、主要行最速で賃金・賞与3%アップ」など、「キタ〜賃上げ!」「大企業に中小続くか!」と景気のいいニュースがテレビや新聞のトップで大きく報じられています。
物価高騰が続き、「物価の優等生」と呼ばれた卵でさえ値段が爆騰しているのですから、そりゃいい加減賃上げしてもらわないと、です。
その一方で、そんなに大騒ぎすることなのか? というのが正直な感想です。もちろん賃上げはうれしいし、「景気は人の心次第」といわれるくらいですから、「やったね! 賃上げ!」と盛り上げるのも、ある意味においては大切かもしれません。それでもやはり、釈然としません。
──働く人の7割が勤める中小企業ではどうなのか? 働く人の4割近くを占める非正規雇用の賃金は変わるのか?
報じられるのは大企業の正社員ばかり。むろん一部の企業では非正規の賃金アップも公表しています。
しかし、非正規を含めた給与所得者の2割強は、年収が200万円以下のワーキングプアです。300万円以下は全体の3分の1を上回り、400万円以下は半数を超えます。
大企業メインの賃上げムーブメントは、「働けど働けど普通に暮らすことができない」人たちの賃金にも波及するのでしょうか?
残念ながら、増えそうにない、というのが私の見解です。
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