なぜ鳩? 「イトーヨーカドー」ロゴの謎 「ヨークベニマル」と何が違う?:仕事に役立つ企業トリビア(2/2 ページ)
新たに国内14店舗の閉店を発表するなど店舗の縮小で注目を集めているイトーヨーカドー。赤・青・白の3色でお馴染みのロゴマークには、戦後復興への思いや企業としての成長への期待が込められていた。
「ヨークマート」「ヨークベニマル」も鳩
鳩のロゴをを使ったスーパーは他にもある。ヨークが運営し、イトーヨーカドーの子会社としてスタートした「ヨークマート」は「情熱」(赤)、「誠実」(白)、「信頼」(緑)の配色となっている。赤と白に込めた意味合いはイトーヨーカドーと同様だ。
同社の公式Webサイトの情報によれば、赤で「天に向かって立ち上がる炎のような熱い決意」、白で「清潔、純粋、正直、直、真面目であり続ける」、緑で「緑の大地のような安定した信頼」をそれぞれ表現しているという。
イトーヨーカドーやヨークマートが関東を中心に展開しているのに対し、福島を中心に東北地方でチェーン展開する「ヨークベニマル」は、73年にイトーヨーカドーと業務提携した経緯から、同じく鳩のロゴを採用している。デザインはヨークマートと同じものを使っている。
同社が展開する別ブランド「ヨークフーズ」「ヨークプライス」のロゴには、ヨークマートの3色に加え、挑戦を表す「オレンジ」が加わった。「未来に向かって光を照らし、昇り続ける朝日」という意味があるという。
親会社セブン&アイホールディングスのロゴも、オレンジ・緑・赤を使用。「自然」「オアシスの水辺に生きる生命のシンボル」を意味した緑以外の2色は、ヨークフーズと同じ意味を示し、グループ内で統一を図っている。
このように、イトーヨーカドーの平和への思いを込めた鳩のロゴは、事業の拡大や高度経済成長とともに意味を変化させ、業務提携による企業規模の拡大によって理念の浸透を図ってきた。そして、国民的人気を誇るアニメ作品にパロディーとして登場するほど、ブランドとしての認知が進んでいる。
イトーヨーカドーを巡っては、業績悪化で、祖業のアパレル事業からの撤退や店舗数の縮小など暗い話題が相次ぎ、収益改善が喫緊の課題となっている。事業の選択と集中で、ロゴの鳩のように未来に大きく羽ばたけるか。
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