なぜ鳩? 「イトーヨーカドー」ロゴの謎 「ヨークベニマル」と何が違う?:仕事に役立つ企業トリビア(1/2 ページ)
新たに国内14店舗の閉店を発表するなど店舗の縮小で注目を集めているイトーヨーカドー。赤・青・白の3色でお馴染みのロゴマークには、戦後復興への思いや企業としての成長への期待が込められていた。
連載:仕事に役立つ企業トリビア
「知られざる本社所在地」「手掛けている意外なビジネス」「ロゴマークに込めた真意」「名物社長の経歴」――ビジネスを楽しくする企業トリビアを紹介していく。
新たに国内14店舗の閉店を発表するなど店舗の縮小で注目を集めているセブン&アイホールディングス傘下のイトーヨーカドー。赤・青・白の3色でお馴染みのロゴマークには、戦後復興への思いや企業としての成長への期待が込められていた。
戦災被害で平和の象徴「鳩」起用
創業者で、セブン&ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長の叔父にあたる吉川敏雄氏が和装に欠かせない足袋の商いを始めたことが、イトーヨーカドーの始まりとなった。吉川氏は「やがて洋装の時代になる」との確信のもと、店を洋品店とし 「羊華堂」をオープン。名前は洋品と吉川氏自身の干支である「羊」が由来になっているという。
(関連記事:干支が関係? 「イトーヨーカドー」名前の由来とは)
戦前から戦中にかけて、店は発展していたものの、東京大空襲で浅草の店舗が被害を受け、商売は一時中断を余儀なくされた。戦後、 伊藤氏が親族とともに東京・北千住のそば屋の店先2坪を借りる形で、46年に羊華堂を再開した。
48年の合資会社羊華堂を経て、58年に「ヨーカ堂」として株式会社化。この際に初めて、鳩を使ったロゴマークが登場した。戦災を経験したことに加え、企業としての成功を願い、当時のマークには、平和の象徴である鳩が幸運を示す「四つ葉のクローバー」を口先でくわえるデザインが採用された。
ヨーカ堂→伊藤ヨーカ堂→イトーヨーカ堂
61年には同社にとって初のチェーン店が誕生。チェーン展開が軌道に乗り、65年に社名をヨーカ堂から「伊藤ヨーカ堂」に変更するタイミングで、ロゴマークのマイナーチェンジも行った。基本コンセプトは変えず、クローバーがより強調するようなデザインとした。
翌66年には生鮮食品の取り扱いを始め、スーパーとしての第一歩を踏み出した。68年に店名を「イトーヨーカ堂」に改名。72年に「イトーヨーカドー」に店名変更するとともに、子どもから大人まで一目で認識できるようロゴマークを刷新した。これが、現在も使われているデザインだ。
平和の象徴だった鳩は、大きな翼を広げ、客と従業員を結ぶ「共感」のシンボルに。四つ葉のクローバーはロゴデザインから消えたものの、鳩には「お客さまに幸せを運び、未来に大きく羽ばたく純白の鳩」という意味を付けた。ロゴデザインに使用した白には「誠実」、赤には「情熱」、青には「清潔」をそれぞれ意味するよう思いを込めた。
なお、創業者の伊藤名誉会長は、味の素の伊藤雅俊会長の社長就任(当時)が内定した際、同姓同名の縁から祝電を送ったエピソードを持つ。ともに母親の名前が「ゆき」だったこともあり、会食する仲だという。(日本経済新聞 19年3月25日付の記事)
「サトーココノカドー」はコウモリ
国民的人気アニメ『クレヨンしんちゃん』には、イトーヨーカドーをモデルにした架空スーパー「サトーココノカドー」が登場する。ともに配色は同じだが、イトーヨーカドーが鳩なのに対し、サトーココノカドーはロゴにコウモリを起用。平和の象徴で、昼に行動する鳩と、悪魔の使いで夜行性のコウモリで対比関係を表しているとされている。
作品誕生25周年だった17年には、作品の舞台が埼玉県春日部市である縁から、イトーヨーカドー春日部店が期間限定で、作中同様、看板をサトーココノカドーに変更。作品とコラボする取り組みも話題となった。
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