ワークマンの「おしゃれシフト」は成功するのか アパレル専門家が指摘する新業態への懸念:磯部孝のアパレル最前線(3/5 ページ)
昨今、これまでの作業ウェアから一般向けの商品を拡大しているワークマン。ファッション性を重視した新業態「ワークマン カラーズ」も発表した。一方で、アパレル専門家はワークマンの「おしゃれシフト」へ懸念を示す。
そもそもワークマンは、野外での建設、土木作業や工場作業に従事するブルーカラー向けの高機能な製品を安価に販売する点を強みにしていた。それが、一部のインフルエンサーの目にとどまりSNSの口コミなどで広まり、爆発的なヒット商品が誕生するとともに、認知度も上がってきた経緯がある。
歴史を振り返ると、11年ごろから「WORKMAN BEST」というPB商品を精力的に展開。それまで長くCMモデルとして起用してきた吉幾三から、カジュアルなアウトドアウェアを着た若者が軽快に走って商品を紹介するCMにイメージの刷新を図ったのが16年だ。この辺りから、防寒&防水ジャケットの「AEGIS(イ―ジス)」や「忍セーフティーシューズ」が、バイク愛好者達から支持され始めて、本来の作業服以外の利用者も増えてきた。
その他、これまでにない客層の開拓に功を奏したのが「ブロガー向け新作発表会」である。16年ごろからスタートしており、発信力のあるブロガーたちを集めてワークマンの新作商品の機能やデザイン性を確認してもらって、発信してもらうことを狙いとしている。
このころに女性ユーザーの意見を取り入れて開発した「レディフィット」というブランドも立ち上げて、本来の作業服とは縁遠い女性をターゲットにした商品展開を始めた。ただし、レディフィットというネーミングは、現在は見当たらない。違うブランドに引き継がれていったのかは定かではないものの、女性客の定着化に向けて長らく取り組んでいることは強調しておきたい。
関連記事
- ”ファッション性”を強調した初の「#ワークマン女子」が大阪・駅ビルに 他の店舗とどう違う?
WORKMAN Shoesとの複合店である「#ワークマン女子 天王寺MIO店」が大阪の駅ビルに3月3日、オープンした。ワークマン初の「ファッション性」を強調した店舗ということで、狙いや注目製品、今後の展望について取材した。 - なか卯が今でも「250円の朝食」を提供している理由 ライバルは牛丼チェーンではなかった
なか卯は、業界でも屈指のリーズナブルな朝食メニューを提供している。物価高騰が叫ばれる中で、なぜ低価格を維持しているのか。その理由を担当者に聞いた。 - 「想定以上の売り上げ」──期間限定47%増量商品、品切れ相次ぐ なぜローソンは値下げを選ばなかったのか
ローソンが価格据え置きで人気商品の重量を47%増量した期間限定キャンペーン「盛りすぎ!チャレンジ」を開始し、その取り組みが注目を集めている。キャンペーン開始以降の販売も好調で、一部商品で品切れが相次ぐほどだ。 - コメダは「ボリュームありすぎ」だからいい 4人家族がたどり着いた朝食の“最適解”
大手喫茶チェーン「コメダ珈琲店」はボリュームの多さが特徴。4人家族で朝食をとるのには最適な場所だという。その理由は? - 「580円の朝焼肉」誰が食べている? 焼肉ライクが開店を“4時間”早めてまで始めたワケ
焼肉ライクは「朝焼肉セット」という朝食メニューを2020年8月から展開している。コロナ禍で時短営業を余儀なくされ、「朝の時間帯」に活路を見出したのがきっかけ。今はどのように利用されているのか取材した。 - 脱「1皿100円」で沈むスシロー、くら寿司 値上げが受け入れられない根本原因
くら寿司が2022年10月期決算を発表し、2期連続の営業赤字となった。回転寿司業界では値上げが進み、「1皿100円」時代が終焉を迎えようとしている。一方で、値上げは反発を招くもの。どうすればいいのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.