「入社前の研修、賃金は発生しますか?」 知っておきたい、新入社員トラブル事例を解説(2/3 ページ)
新入社員が入社してくるまで約2週間を切りました。入社前に起こりがちな「新入社員トラブル」事例を解説していきます。
内定者研修の労働条件はどうする?
では、内定者研修を労働時間とする場合、労働条件はどうするべきでしょうか? 入社後の労働条件に引っ張られる必要はなく別の労働契約と考えることができます。
よって、内定者研修は不定期に短時間で実施されるため時給制にする方が便利です。この場合の時給は、初任給の額から時間単価を割り出したものを用いても良いですし、業務の負担が軽いという意味で、それよりも低い時給を設定しても問題ありません。ただし、内定者が不満を感じないようにきちんと納得してもらう必要があります。
また、入社前にインターンシップという形で研修を兼ねて勤務させる場合も同様です。初任給と別の労働条件を設定すること自体は問題ないものの、研修の枠を超えて強制的に働かされたという不満もネット上などで散見されますから、学業に影響が出ないように配慮しましょう。
宿泊型の研修、労働時間はどう計算する?
新卒の場合、入社後は泊りがけで研修を実施するケースもあるかと思います。この場合の労働時間はどのように考えるべきでしょうか。
まず自宅からホテルに向かう時間については、出張などと同じように特別な事情がない限り労働時間とは考えません。よって原則として研修開始時刻が始業時刻となります。
また最近では減ってきた印象はあるものの、宿泊研修では新入社員同士が夕食後も集まって翌日の研修に向けて深夜まで何かを検討したり、レポートを作成したりすることもあります。自発的な取り組みであるならば労働時間外と考えられますが、そもそも所定労働時間内で完了させるのが難しい課題を与えているとしたら、持ち帰り残業と同じ構図になりますので、労働時間と解釈するのが自然でしょう。
当然、8時間を超える労働時間分や午後10時を過ぎた労働時間分は割増賃金での支払いが必要になりますから、時間管理はきちんと行いましょう。
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