2015年7月27日以前の記事
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キヤノンの“成果”はいかに? 4カ月研修後に「社内転職」体験談も聞いた(4/4 ページ)

人材育成に注力するキヤノンでは、2016年から職種転換を伴う「研修型キャリアマッチング制度」を開始している。18年には、ソフトウェア技術者の育成を目的とした教育施設を設立、未経験からソフトウェアエンジニアに転向する社員もいるという。この制度は、どんな成果を生んでいるのか。

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近年は「おかわりが欲しい」と好評

 世永さんの話にあったように、同じ研修であっても受けるメンバーのバックグラウンドや年代はバラバラであり、ベースのスキルには差がある。そのため、周囲と比較してできない自分に焦るケースは時にあるようだ。

 とはいえ、サポートは手厚く設定しており、必要に応じて残業代を支給して追加の学びを与えることもある。そもそも研修に参加する社員は学びへの意欲が高いため、挫折することは少ないという。講師によれば、人によって理解のスピードに違いはあっても、学びを継続するなかで学習曲線がグッと上がるタイミングがあるそうだ。

 立ち上げ時から順調だったわけではないが、ここ数年は職種転換した社員を受け入れた部署から「おかわりが欲しい」と要望があるほど好評なのだとか。

 現在は、職種転換の仕組みを活用して、より高度な技術を持つ人材を育てていこうと新たな研修を準備している最中だ。

 「すでにカリキュラムはできあがっています。2〜3カ月シストに出社して集中的に学ばせることで、技術者のレベルアップを図りたいと考えています。すでにソフトウェア開発に携わっているが、AIやクラウドなど、より上級の技術を身につける人材を育てるイメージです」(デジタルビジネスプラットフォーム開発本部 主席 宇野 勉氏)


「研修型キャリアマッチング制度は、離職率の削減につながる一面もある」と宇野氏(写真右)

 職種転換の当事者である世永さんは、「研修型キャリアマッチング制度をこれからも継続してほしい」と話す。現状、研修で学ぶ技術と実務で使う技術がピッタリ一致するわけではなく、再配属後に現場でさらなる学び直しが発生するという。決してラクな道のりではないと予想するが、仕事への充実感とキャリアアップを強く求める社員には、ありがたい制度といえそうだ。

写真提供:キヤノン

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