2015年7月27日以前の記事
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キヤノンの“成果”はいかに? 4カ月研修後に「社内転職」体験談も聞いた(3/4 ページ)

人材育成に注力するキヤノンでは、2016年から職種転換を伴う「研修型キャリアマッチング制度」を開始している。18年には、ソフトウェア技術者の育成を目的とした教育施設を設立、未経験からソフトウェアエンジニアに転向する社員もいるという。この制度は、どんな成果を生んでいるのか。

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職種転換した社員の体験談

 実際に職種転換を実現した社員にも話を聞いた。15年入社、現在8年目となる世永萌香さん(30歳)は、研修型キャリアマッチング制度を通じて、20年にインクジェット事業本部(当時の名称)からイメージソリューション事業本部に異動した。

 異動前は商品の販売推進を担当しており、デジタル写真から製本されたアルバムを製作する消費者向けサービスを扱っていた。業務においては、専用アプリをより使いやすくする目的で、アプリケーションの開発担当と密にコミュニケーションを取ることが多かったという。

 「開発担当者の方に追加機能のお願いや調整を繰り返しているなかで、直接開発に携われない悔しさを感じるようになりました。そんな折に研修型キャリアマッチング制度の話を聞いて、ソフトウェアエンジニアへの転向に挑戦したいと思いました」(世永さん)

 技術者になることで自身のキャリアややりがいのアップだけでなく、会社の事業成長にも貢献できるはず。引いては年収アップにもつながるのではないか。そういった考えから世永さんは制度への応募を決意したそうだ。


世永さんが受けた研修は、ソフトウェアを専門にしていない社員がソフトウェアエンジニアになることを目的とし、修了時に情報系の大卒新人と同程度の実力を付けることを目標にしている

 大学の法学部卒、事務系の部署所属と、ソフトウェア開発はまったくの未経験だった世永さん。周囲には開発の経験者もいたなかで、研修中は勉強についていくのに苦労した。

 「研修中は予習復習に追われていて、業務時間外にも勉強することがありました。チームを組んで模擬開発を行う開発プロジェクトの研修もあったのですが、チーム内に自分より優秀なメンバーがいる中で、どうやって担当部分の開発を進めるべきかは、一番悩んだ点でした」(世永さん)


ソフトウェア技術者向けの研修で使用する教材

 四苦八苦しながらも世永さんは研修を修了し、20年10月にWindowsアプリのUI開発を担う部署に異動した。3年目となった現在は、Webアプリの開発部門に異動となり、実務を通して新たな技術を学び直すチャレンジングな日々を送っている。

 「まだ異動して数カ月ですが、Webアプリの分野は非常におもしろく、やりがいを感じています。この機会にWebアプリのUI開発者として技術を磨いていけたらなあと。そうすることで職種転換の理由であった販売推進を技術で助けることにつながればと思っています」(世永さん)

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