キヤノンの“成果”はいかに? 4カ月研修後に「社内転職」:体験談も聞いた(2/4 ページ)
人材育成に注力するキヤノンでは、2016年から職種転換を伴う「研修型キャリアマッチング制度」を開始している。18年には、ソフトウェア技術者の育成を目的とした教育施設を設立、未経験からソフトウェアエンジニアに転向する社員もいるという。この制度は、どんな成果を生んでいるのか。
職種転換を伴うリスキリングの仕組み
現在キヤノンでは、年功序列ではない公平処遇を基本とした終身雇用として「実力終身雇用」の考え方を採用している。
そのうえで、社会の変化に合わせて新たな知識やスキルを身につけていく「変身力」が求められるとして、職種転換を伴う「研修型キャリアマッチング制度」を16年から開始。18年には、ソフトウェア技術者を本格育成する教育施設としてシストを立ち上げた。
「これまで、当社の技術者はカメラやプリンターを扱う組み込みエンジニアがメインでしたが、近年はクラウドやAIなどを活用したソフトウェアエンジニアの必要性が増しています。そこで研修制度を活用してソフトウェアエンジニアを育成しようと、専用の教育施設を立ち上げました」(人事本部 人材・組織開発センター 石川 慎也課長)
キヤノンの研修型キャリアマッチング制度は、公募や部門推薦などにより要員を創出し、4カ月間にわたり研修を実施。その後、該当社員を新たな部署に再配置する。研修中は所属が人事部付けに変わり、フルタイムで研修を受ける。研修中の給与は、以前の部署の体系のままとなる。
新たな部署への再配置後も等級が下がることはない。その後、年収アップが実現するかどうかは個々の活躍次第で、役割の達成度に応じて評価されるそうだ。
同制度は主に入社4年目以降の社員が対象だが、希望すれば誰しもが受けられるわけではない。社内のキャリアカウンセリングを受けた後、書類審査や面接を経て、人物像や能力を審査する。異動後も活躍できるかどうか適性を見極めたうえで、研修の参加が認められるという。研修後は再びキャリアカウンセリングを受けたうえで、新たな部署へ再配置される。
同制度を活用する社員の年代は、20〜40代がメインとなる。
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