インタビュー
KDDIの新ボーナス制度、KPIの3割を「ESG達成度」に 1年運用した結果は?:社員のサステナ意識は向上するのか(1/2 ページ)
サステナビリティを中長期的な経営テーマに据え、推進する企業が増えてきている。KDDIは社員の賞与にESG指標の達成度を反映させる仕組みを取り入れ、全社的な意識醸成を狙う。取り組みの詳細を同社の執行役員に聞いた。
サステナビリティを中長期的な経営テーマに据え、推進する企業が増えてきている。しかし、機関投資家や株主からのプレッシャーから「お題目」として掲げているだけ、という企業も少なくないだろう。
本当の意味でサステナビリティ経営を実現するためには、経営層だけでなく現場にもその考えや行動が浸透している必要がある。そうは言いつつ、日々の業務の中でサステナビリティを意識することはなかなか難しい。会社のサステナビリティ目標に直結しない業務を担っている社員もいるだろう。
そこで、KDDIは役員だけでなく社員の賞与にESG指標の達成度を反映させる仕組みを取り入れた。対象となる社員は約1万1000人に上る。
WTWの調査によると、役員報酬のKPIにESG指標を採用している企業は62%(2022年)で、前年比32%増だった。このように役員報酬にESG達成度を反映する企業は増えているものの、社員にまで対象を拡大している企業は多くない。国内では花王とソニーグループが先行しているが、その他の事例はあまり聞かない。
社員の賞与と連動させた狙いや賞与反映の設計方法、達成のための取り組みについてKDDI執行役員の最勝寺奈苗氏(コーポレート統括本部 副統括本部長 兼 サステナビリティ経営推進本部長)に話を聞いた。
8つのKPIはどうやって選んだ?
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