ChatGPTの登場によって、オペレーターは不要になるのか:敵か味方か(2/4 ページ)
AIの発展によって、さまざまな業界でその活用が見直されています。コンタクトセンターのオペレーターについては、業務そのものがなくなるのではないかといった声も。これからのコンタクトセンター業界における人間とAIの共同作業について考察します。
人とAIの共同作業が前提になる
ChatGPTなどLLMの技術の発展により、これまでだと実務には耐えないクオリティーだった自動化のレベルが断然に上がる可能性があります。シンプルに音声認識、音声合成、FAQやメールなどの文章生成・編集・リライト、図解などの画像生成・編集といったように、コンタクトセンターのオペレーションをよりリッチに生産性高く実行できるようなソリューションの提供が可能になりそうです。
AIの活用によって、顧客目線ではカスタマーサポート自体がより心地の良いものになるのはもちろん、働く人目線でも可能性は広がります。例えば、AIを活用して業務の生産性や創造性を向上させることで、オペレーターはこれまで以上にスキルをアップデートし、顧客に対する高度なアドバイスやカウンセリングが可能になります。これにより、オペレーター自身のキャリアビジョンの拡大やEX(従業員経験)の向上が期待できます。
またAIの自動化が進むことで、人のほうが効果を発揮しやすい場面も鮮明になってくるでしょう。分かりやすいのは感情面です。顧客の気持ちに寄り添ったり、励ましたり、時には背中を押したり。「人にしかできない業務」「AIで代替えできる業務」の効果的な使い分けを、企業が提供するサービスの特色に合わせて共同作業のあり方を模索していくことになりそうです。
このように、人間とAIの共同作業が当たり前になれば、今では当たり前に受けられる人間によるカスタマーサポートが「高級」チャネルに変化する時代が訪れるかもしれません。時間や手間をかけてでも人間のオペレーターに対応してほしいケースは必ず残るはずなので、企業によっては人間によるサポートを「有料化」することも考えられるでしょう。
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