運動嫌いが企画した「ソフトクリームが食べられるジム」の甘くない戦略:快活CLUBがジムに参入(2/4 ページ)
フィットネスジム業界に、異色の新顔が現れた。インターネットカフェ最大手の「快活CLUB」が、店舗内にジムエリアの導入を進めている。なぜ、快活CLUBの店舗内にジムを作ろうと思ったのか? 勝算はどこにあるのか? 話を聞いた。
「ジムはハードル高い」を徹底的に回避
ジムエリアの企画にあたり、最も大切にしたのは「初めてジムを利用する人や、ジム通いに挫折した経験のある人の心理的ハードルを下げるにはどうしたらいいか」という考え方だという。その中でも、特筆すべきは30分290円の時間利用制があることだ。
ジムエリアの企画者で、自身も運動が苦手だという鈴木祐人さん(営業企画部 営業企画課 次長)は、次のように説明する。
「ほとんどのジム施設には入会金や体験手数料がありますが、そういったものは一切なくしました。退会の概念もないので『忙しいから数カ月来られない』『時間ができたから1回だけ利用する』といった自由があります。専門のジムに通うのはハードルが高い、という人でも、快活CLUBならそれ以外のこともついでにできるから行ってみよう、となるかもしれません」
月額3980円の定額制も設けているが、月7時間以下の利用であれば時間利用の方がお得になる。導入検証として2年弱ジムエリアを運営してきた四日市追分店(三重県)でも、時間利用の顧客の方が多いという。
初心者への配慮は、利用システムのみにとどまらない。設置したマシンには、必ず分かりやすく利用方法を記した案内カードを設置し、使い方が分からず戸惑う可能性を減らしている。
白を基調とした明るい内装も、心理的負担を減らすためのデザインだ。広告やWebサイトのモデルにはあえて筋肉美が目立つタイプのモデルではなく、目標として親近感を持ちやすい体形のモデルを起用し、肌の露出の少ない気楽な服装でのトレーニングシーンを撮影した。
玄人向けのジムだと「筋トレをする筋肉がない」と弱気になってしまう──。そんな運動に自信のない人でも、使いやすいように工夫している。
「例えば、おしゃれなお店で服を買うのはハードル高いけど、ユニクロだったら買いやすい。そうした気楽な空間を目指しています。快活CLUBは“第2のリビング”というテーマを掲げているので、『ジム通いは一生しないな』と考える方でも『リビングにトレーニングマシンがあるからちょっと使ってみる』くらいの気持ちで利用していただくのが狙いです」(鈴木さん)
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