欧州の「EV一辺倒」転換 トヨタ社長「現実的な選択」:「敵は炭素」強調
欧州連合(EU)が一転して、合成燃料「e-fuel」を使用した場合など条件付きでガソリン車を容認する方針を打ち出した。EUでの動きに対して、トヨタ自動車の佐藤恒治社長は記者会見で「現実的な選択」とコメントした。
2035年以降ガソリン車の販売を事実上禁止し、バッテリー式EV(BEV)一辺倒の姿勢を示していた欧州連合(EU)が一転して、合成燃料「e-fuel」(イーフューエル)を使用した場合など条件付きでガソリン車を容認する方針を打ち出した。独を中心に進んでいた欧州での全面的なEVシフトに「待った」が出た形だ。EUでの動きに対して、トヨタ自動車の佐藤恒治社長は4月7日の記者会見で「現実的な選択」とコメントした。
同日開催の新体制発表会で、報道陣からの質問に佐藤社長が回答した。記者からのEUの方針転換に関する質問に対し、佐藤社長は「多様な選択肢を考える上で、産業構造、社会環境を考えた現実的な考えが提案されてきたのではないか」と指摘。e-fuelに関しては「生成プロセスで、まだまだ課題がある。エネルギー変換効率を考えると、技術的課題が多く残っているが、選択肢になったということについては、ある意味、現実的な選択だ」との受け止めを示した。
今後に向けては「(e-fuelなどを)選択肢にするには、エネルギー産業と自動車産業が連携し、更なる技術開発が必要。だからこそ、軸(全包囲戦略)をぶらすことなく、色々な技術開発に挑戦しながら、それが本当の選択肢になり得るよう開発を続けていきたい」とした。
「敵は炭素。CO2をいかに下げるか」強調
世界では、急速なEVシフトが進む。有識者や一部のメディアからは事実上の“トヨタ潰し”との指摘も出ている中、トヨタはBEV以外にもPHEV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)などの開発も継続する全包囲戦略を採っている。加えて、近年は水素エンジンの開発も強化している。
(関連記事:「世界はなぜEV一択なのか」 トヨタ社長に“直球質問”してみた 【回答全文あり】)
佐藤社長は「敵は炭素。CO2をいかに下げていくかということが大切」との姿勢を改めて強調。「世界には再生可能エネルギーが促進され、インフラ環境も整っている国とそうではない国もあり、環境が偏在しているという現実から目を背けてはいけない。グローバルにビジネスをしているトヨタだからこそ、誰一人おいていかないことを大切にしていきたい」とした。
トヨタは会見で、2026年までにBEV10車種を投入し、年間150万台の販売を目指す方針を打ち出している。
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