良かれと思った「最適化」が呪縛に──総務が陥るワナ、どう回避する?:「総務」から会社を変える(1/2 ページ)
総務の仕事は改善がつきもの。しかし、良かれと思った「最適化」が呪縛になってしまうことも……。こうしたワナに陥らないために、総務が意識すべきポイントは何か。不安定な時代における戦略総務のあるべき姿を『月刊総務』の豊田健一氏が解説する。
総務の仕事は改善がつきもの。今ある制度をより良くする、いまあるオフィスの環境をより良くする、総務の業務、総務が提供するサービス、手配しているモノなど全ての施策をより良くする──それが総務のミッションでもある。つまりは変えること、まさに戦略総務のことである。
ただ、年がら年中変えられるか、というとそうでもない。
ある程度改善しつくすと、ITツールを使い、最短距離で業務が回る最適化された状態に到達する。その状態でマニュアルが作られ、以降、そのマニュアル通りに担当が代われど粛々と業務が回っていく。当該業務の改善が完了、ということになる。
それはそれで、総務として合格となる。しかし一方で、環境変化が激しい世の中、技術の進展もある。従業員のニーズも変化していく。ミレニアム世代、Z世代、価値観が微妙に異なる世代も、続々と入社、そして主役となってくる。最適化されたものが最適化でない状態となる可能性がある。
最適化の呪縛とは、いったん最適化されたものを環境が変化しているのにもかかわらず、そのままの状態で数年運用し続けることである。
思考停止状態で、当該業務のマニュアルを後生大事にそのままの運用を続けてしまう。もしかしたらその運用は時代遅れであり、むしろ、そのまま続けることが弊害となっている可能性があるかもしれないのにだ。
例え、最適化された状態であっても、常に見直すことが求められる。見直した結果、まだ通用するのであれば良い。だが、見直さないのは問題である。総務業務については、聖域なくして、常に一定のタイムスパンで見直すことが必要なのだ。最適化の呪縛は、総務の首を絞める状態となる。
業務の見直しに、欠かせない視点は
関連記事
- 定年再雇用「60歳以降、1年ごとに1割給与を減らす」はOKですか?
定年再雇用を新設する際、「60歳以降、1年ごとに1割給与を減らす」制度は問題ないか。実例を踏まえ、人事コンサルタントが解説する。 - 給与と労働時間、どちらを優先? 日立とパナソニックの「週休3日」は全く違う
連日「週休3日」が話題になっている。日立製作所とパナソニック ホールディングスが相次いで2022年度中の導入を検討していると発表したことがきっかけだ。しかし、日立とパナソニックの「週休3日」は全く異なるものだ。どういうことかというと……。 - DXとは「すっ飛ばす」こと DXが進まない企業に欠けている視点
DXは間違いなく、現在ビジネスにおけるトレンドワードだ。しかし、その本質を理解している人はどれだけいるだろうか。本記事では350以上の企業などで組織・業務改革支援の経験を持つ沢渡あまね氏が、単なる“デジタル化”では成し得ない、“DXの本質”について解説する。 - 「残業しない」「キャリアアップを望まない」社員が増加、人事制度を作り変えるべきでしょうか?
若手や女性を積極的に採用したところ、「残業はしない」「キャリアアップを望まない」という社員が増え、半期の評価ごとに成長を求める評価制度とのミスマッチが起きている──こんな時、人事はどうしたらいいのだろうか? 人事コンサルタントが解説する。 - 崩壊寸前だったVoicy 離職率67%→9%に立て直した人事責任者が語る“人事の本質”
日本の音声コンテンツ市場の先頭を走る、音声メディア「Voicy」。3カ月で利用者数が2.5倍になるなど、コロナ禍で驚異的に成長している。しかし、たった1年半前は離職率が67%にのぼり、組織崩壊寸前だったという。そんな中でVoicyに入社し、抜本的な人事改革を行ったという勝村氏。一体どのような改革を行ったのか──?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.