東京ミッドタウン日比谷が5周年、どのような「変化」があったのか:3分インタビュー(2/3 ページ)
東京ミッドタウン日比谷が3月に開業5周年を迎えた。初年度の売り上げは目標を大きく上回ったが、その後はコロナの影響で大きく落ち込んだ。感染が落ち着いたことで、施設にとってどのような「変化」があったのだろうか。話を聞いたところ……。
どのような変化があったのか
――ミッドタウン日比谷がオープンして、5年が経ちました。初年度の売り上げは好調だったようですが、目標の数字(売上高130億円、来館者1200万)はどのようにして決められたのでしょうか?
豊蔵: 六本木にある東京ミッドタウンには、年間3000万人ほどのお客さまが来られているんですよね。ミッドタウン日比谷は地上1階から地上7階建てで、60店舗ほどある。六本木のほぼ半分なので、六本木の半分ほどのお客さまが来られるのではないかと考え、目標の数字を設定しました。
ただ、予想を上回る形で、多くのお客さまが来られました。入口の近くに2階に上がれるエスカレーターがあるのですが、人があふれてしまいまして。エスカレーターの近くに広めのスペースがあるので、ご利用される方はそこに並んでいただくようにしました。テーマパークのアトラクションに乗るのに順番を待つような形ですね。
それでも人の流れが悪かったので、エレベータにも誘導しました。それでも人があふれてしまったので、急きょ、非常階段を使っていただくことにしました。
初めて来られる人は「すべての店を見てみたい」という気持ちがあるのかもしれません。滞在時間がものすごく長いこともあって、施設内は多くの人でごった返していました。また、4階に映画館がありまして、上映が終わると、多くの人が一斉に降りてくる。オープン当初は、想定以上のお客さまをどのように誘導すればいいのか。そのことで頭がいっぱいでした。
――23年3月に開業5周年を迎えて、累計の来館者は7600万人を超えたそうですね。2022年度の売上高は前年比1.5倍(23年1月末集計)だったそうですが、この数字をどのように見ていますか?
豊蔵: 22年12月の数字を見ると、売り上げ・来館者数ともにコロナ前の水準に戻ってきました。「街に活気が戻ってきた」「商業施設に足を運ぶ人が増えてきた」と思われたかもしれませんが、来館者の年齢を見ていると、ちょっとした“変化”がうかがえました。
19年のデータを見ると、10〜20代は22.8%だったのに対し、22年は36.2%に。若い人の割合が1.6倍ほど増えているわけですが、なぜこのような現象が起きているのか。来館目的を調べたところ、商業施設なので「買い物」「食事」を挙げる人が多いのですが、19年と比べると「散歩・時間つぶし」(10.3%→26.2%)がものすごく増えていることが分かってきました。
「散歩」って、目的がなくても訪れるという意味になりますよね。目的がなくても足を運ぶということは、ひょっとしたら「居心地がいい」と感じられている人が増えているのかもしれない。このような仮説を立てて、ミッドタウン日比谷を利用する理由を尋ねたところ、「雰囲気がいいから」(23.5%→35.7%)と「街のイメージが好き」(11.8%→29.0%)の2つが伸びているんですよね。
また、来館頻度を調べたところ、58%は「月に1回以上」、24%は「週に1回以上」訪れています。この数字を見たとき「多いな」という印象を受けました。日比谷エリア周辺には、人が住む場所は少ない。にもかかわらず、スーパーやコンビニのように「ちょっと行ってみようかな」といった感じで、リピートしている人が増えているのかもしれません。
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