シャープの消臭・除菌ができる靴箱 普及の壁は「価格」と「大きさ」?:家電トレンド解説(3/3 ページ)
シャープが消臭・除菌ができる靴箱を発売。シューズボックスと一体化した製品はかなり珍しい。開発の経緯を聞いた。
ネックになるのは「価格」と「大きさ」
同商品の市場想定価格は税込10万円前後。月産台数は200台を予定している。今後キーになるのは「価格」と「大きさ」だ。
10万円前後という価格から、まずはマッサージやエステなどの各種サロン、美容院や、クリニックといった、顧客に付加価値を感じてもらえる“おもてなし設備”としての導入がメインになるだろう。フィットネスやゴルフ場など専用シューズに履き替えることが多いスポーツ施設にも需要が見込まれる。
「靴を脱いでくつろぐ宿泊施設や飲食店、サロンなど、日本のおもてなし施設では靴を脱ぐ機会が多くなっています。空間にニオイを充満させないため、また靴のニオイや蒸れを脱いでいる間にケアする付加価値としてなど、さまざまな潜在ニーズがあると考えています」(花房さん)
そして認知が広がっていけば、一般家庭からも引き合いも増えるだろう。部活動などで汗をかきやすく新陳代謝も高いティーンエイジャーを持つ家庭では、靴のニオイの悩みも高い。社会人でも歩く機会が多い営業職など、靴の蒸れやニオイが気になる層にも響きそうだ。
そこでネックになるのが「設置スペース」だ。標準的なマンションの玄関スペースは、それほど広さに余裕はないため、最初から玄関に備わるビルトインタイプも求められるだろう。今後のアップデートにも注目したい。
小口覺(おぐち・さとる)
雑誌、Webメディア、単行本の企画・編集・執筆などを手がけるライター・コラムニスト。自慢できる家電「ドヤ家電」(日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定)を生み出す。近年はマーケティングやR&Dの領域で取材・コンサルティングを手がける。著書に、『ちょいバカ戦略: 意識低い系マーケティングのすすめ』(新潮社)など。
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