ChatGPTが変える営業 「プロダクトセールス不要説」を唱える米国企業の意図とは?:後塵を拝する日本企業(1/3 ページ)
ChatGPTは営業のあり方をどう変えるのか? ChatGPT誕生を受け、米国の企業では「プロダクトセールス不要説」が唱えられ始めている。一体どういうことなのかというと……
ChatGPTは営業業務を根本から変えるテクノロジーだ。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、事前に大量学習されたデータから高品質な文章が自動出力されることが特徴だ。これまでのAIと区別するため、ChatGPTはジェネレーティブAI(生成系AI)とも呼ばれている。
従来のAIと抜本的に異なるのは、AIが成果物を生み出すようになったことだ。そして、それをGAFAのような一部のテクノロジー企業が独占しているわけではなく、誰でも活用可能になったことも大きい。
では、このジェネレーティブAIが営業業務をどのように変革していくのかについて筆者の考察を展開したい。どの会社でも共通している営業職のアクションとは、顧客への提案やコミュニケーションだ。アポイントを取得し、商談を行い、フォローアップをしながら顧客に製品を買ってもらう必要がある。
ChatGPTによってもたらされる抜本的な業務変化は、これまでは営業パーソンが一生懸命考えていた、営業活動のためのメール文、提案書、当日の対話内容などのコミュニケーションを、AIが自動作成しても違和感のないものになるということだ。これまで商談の運び方やトークスクリプトを考え、1時間以上かけて作成した資料を、ChatGPTが3分ほどで生成させてしまうかもしれない。
米国のセールステック企業であるGongやOutreachといったユニコーン企業は、すでに営業活動におけるメールや電話内容をジェネレーティブAIで自動作成する機能を実装し始めている、とGeekWireやWIREDが報じている。
そもそも米国では、すでに営業テクノロジーとしてのSFAのブームは過ぎており、会話型インテリジェンスのほうが盛り上がっていた。ChatGPTが話題になる前から、営業の対話やコミュニケーションにおけるAI活用の可能性を模索し、セールステック企業のM&Aも盛んに行われていた。
そのような市況の中に、さらに着火剤としてChatGPTのトレンドが到来した。そのため、営業業務でのAI活用を既に本格的に進めている会社が米国で増えているのだ。早速、営業メールの送付で試してみよう、という話や実装までが早い。
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