なぜfreeeが本屋を始めたのか 経営状況を”明け透け”にする「透明書店」:何が新しいのか(3/5 ページ)
クラウド会計ソフトを展開するfreeeが子会社を設立し、書店経営に参入する。蔵前にオープンした「透明書店」は、月々の売り上げなどの経営状況から経営にまつわる施策や日々の出来事などを“明け透け”に公開する一風変わったコンセプトだ。どんな書店なのか。
なぜfreeeが「書店経営」に参入するのか
なぜfreeeが、いま「書店経営」に参入するのか、気になる人も多いだろう。岡田氏は「深くスモールビジネスを理解し、プロダクト開発に生かしたい」と話す。
「当社では、スモールビジネスを世界の主役にするため、スモールビジネスをする人々に統合型プロダクトの提供を目指しています。一方で、開発の難易度は高いと考えており、スモールビジネスを深く広く理解しなければなりません。
現在のfreeeは社員が1000人規模の上場企業であり、創業当時のように自分たちが実務を行うことを難しく感じています。そういった課題意識があり、社員、特に開発メンバーが実務を行い、スモールビジネスの業務全体を感情面も含めて理解して、プロダクトの開発に反映したいと考えました」(岡田氏)
岡田氏がいう「感情面の理解」というのは、会計関連業務のわずらわしさを指している。スモールビジネスをする人々は、本業の片手間で人事労務や販売管理などを行っており、その面倒さ、煩雑さはときに怒りを覚えるぐらいであると。
では、なぜ本屋だったのか。その理由は3つある。1つめは、近年「独立系書店」と呼ばれる小さな書店が世界的に増えていること。それらは、ネット書店や大手書店と異なる選書や書店の枠組みにとらわれない体験を、固定費を抑えて提供することによって収益を上げている。
2つめは、在庫を持たないfreeeの無形ビジネスと対極の有形ビジネスであること。書店は小規模ながら多くの在庫を持たなければならない。つまり在庫管理の難易度が高いわけだ。あえて対極の事業に取り組むことで、freeeの苦手分野にアプローチしたい狙いがある。
3つめは、テクノロジーの介在余地が大きいこと。書店運営は紙で在庫管理をしていたり、ファックスを使って受発注していたり、紙のやり取りが多く、改善の余地があると感じたそうだ。
書店の経営にあたっては、月々の売り上げなどの経営状況から日々の施策や出来事をオープンに発信していく。同時に新しいテクノロジーの実験場としても機能させる。
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