「量より質」のSUBARU、5年ぶりの社長交代でどう変わる?:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
SUBARUの社長が、この夏前に代わります。社長の交代によって、SUBARUはどのように変わるのでしょうか? 山あり谷ありなSUBARUの過去10年の歩みを振り返り、この先を占ってみたいと思います。
SUBARUの社長が、この夏前に代わります。2018年に社長に就任した中村知美氏が会長となり、専務だった大崎篤氏が新たに社長になるというのです。
社長交代の理由は「中期経営ビジョン『STEP』の取り組み5年目の区切り」「自動車業界を取りまく大変革期への適応を加速させるため」とリリースにあります。新体制が生まれた後、やはり新しいビジョン(中期経営計画)が作成されるようです。
では、社長の交代によって、SUBARUはどのように変わるのでしょうか? 山あり谷ありなSUBARUの過去10年の歩みを振り返り、この先を占ってみたいと思います。
「Motion V」「際立とう2020」で業績アップ
12年前の11年に、SUBARU(当時は富士重工業)は、先代(中村氏の前)の吉永泰之氏が社長に就任しました。吉永氏は、中期経営計画「Motion V」を定め、SUBARUの業績を伸ばしてゆきます。
この「Motion V」では、「SUBARUの提供する価値『安心と愉しさ』を高めること」と「米国と中国市場を重視すること」が掲げられていました。また、軽自動車から撤退してダイハツのOEMへの切り替え、風力発電と特装車両の事業移譲、トヨタと共同開発した「BRZ(86)」登場もこの時期です。選択と集中、いわゆるリストラという内容でもあります。
そんな「Motion V」は成功したことで計画が前倒しとなり、わずか3年で終了となります。そこで14年には、「際立とう2020」という新たな中期経営計画が発表されました。
この「際立とう2020」は「スバルブランドを磨く」「強い事業構造を作る」という内容であり、20年に年間生産台数110万台を目標に掲げました。しかも、調子が良いということで13年には目標を120万台に上方修正しています。
ちなみに、11年の年間生産台数は約65万台。吉永氏の元、約2倍の規模にまで会社を大きくしようとしていたのです。実際に17年の年間生産台数は107万台でした。20年の年間生産台数120万台という目標まであと少し、というところまで来ていたのです。17年には社名を富士重工業から現在のSUBARUへと変更し、まさに絶好調でした。
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