「量より質」のSUBARU、5年ぶりの社長交代でどう変わる?:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(3/3 ページ)
SUBARUの社長が、この夏前に代わります。社長の交代によって、SUBARUはどのように変わるのでしょうか? 山あり谷ありなSUBARUの過去10年の歩みを振り返り、この先を占ってみたいと思います。
新体制で期待できること
また、25年にはバッテリー式EV(BEV)の生産に着手し、27年にはBEV専用の生産ラインを追加。30年代前半に全車に電動化技術を搭載するとしています。さらに25年頃には、トヨタのハイブリッドシステムを利用する次世代「e-Boxer」(スバルのハイブリッド)を複数のモデルに採用するともアナウンスしています。そして実際に、22年にはトヨタと共同開発したBEV「SOLTERRA」(ソルテラ)を発売しました。
つまり、コロナ禍という逆風で生産台数は減らしつつも、その中で「質的成長」を遂げ、「SUBARUづくり刷新」で電動化を進めていたことになります。数を追わずに、質的な成長を狙ったSUBARUにとっては、まさに狙い通りの結果だったのではないでしょうか。
狙い通りの結果であれば、本来、25年までの計画であった「STEP」を、5年目となる今年で終了させて、次の新体制の元に新たな計画を作ろうと考えるのも、おかしな話ではありません。実際に、SUBARUの前回の計画「際立とう2020」も、その前の「Motion V」も途中で終了しています。
「STEP」がうまくいったのであれば、次の計画は、それを踏み台にしたものとなるはず。「自動車業界を取り巻く大変革期への対応を加速させる」ということは、世の中の電動化と知能化という変化にSUBARUはしっかりと追従していくということでしょう。SUBARUらしい、時流にマッチした新型モデルの登場が期待できます。
筆者プロフィール:鈴木ケンイチ
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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