トヨタ新型「クラウン・スポーツ」の仕上がりと戦略:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)
トヨタが新型「クラウン・スポーツ」のプロトタイプ試乗会を開催した。乗車して分かった新型「クラウン・スポーツ」の狙いとは。
乗車して分かった新型「クラウン・スポーツ」の狙い
見た目は昨今流行のSUV。とはいえ、SUVももうさすがに新味はない。北米狙いかと思って聞いてみても、少なくとも当初の投入計画は日本と中国だと言う。
スタイルは確かに意欲的でカッコいい。ただ、今どきスタイル一発でどうこうなるものだろうかと思案していたところ、乗ってみてよく分かった。これは「RAV4」のようなファミリーSUVではなくて、独ポルシェの高級SUV「マカン」の対抗馬。要するにスポーツプレミアムSUVであり、もっと端的に言えば「走りのSUV」が狙いだろう。
骨格はフロントフェンダーから後ろまでまっすぐ抜けて行く形で、スピード感と伸びやかさを表現。ドア下ロッカー部の黒いガーニッシュでアンダーボディが厚く見えすぎないように調整しつつ、リヤフェンダー周りのボリューム感でいかにも動力を路面に伝える形になっている
ちなみに発売は23年の秋以降とされており、今回は車両詳細はほとんど発表されていない。出力も重量も値段もまだナイショ。分かっているのは、ディメンジョンとパワートレイン構成のみ。全長4710ミリ、全幅1880ミリ、全高1560ミリ。ホイールベース2770ミリで、パワートレインはハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)があり、全車4WDということだけ。
比較用にクロスオーバーの数値を並べてみると、全長4930ミリ、全幅1840ミリ、全高1540ミリ、ホイールベース2850ミリ。というわけで全長で220ミリ短く、全幅で40ミリ広く、全高で20ミリ高く、ホイールベースで80ミリ短い。トレッドは発表されていないが車幅からいって、おそらくクロスオーバーの前1605ミリ/後ろ1615ミリより広いだろう。
ホイールベースとトレッド、つまり4輪が地面に描く矩形がより正方形に近く、クルマの素養そのものがよく曲がる仕立てになる。一方でホイールベースが80ミリも短縮されれば、後席足元空間にはだいぶ差が出ることが予想されるが、実際に乗ってみた感じとしては、特別に広々はしていないものの、十分に実用的で、窮屈ではない。フル4座として及第点といえる空間だ。
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