年間売上1億、ギョーザで起死回生の東スポ 次に狙う“鉱脈”とは?:世界を読み解くニュース・サロン(3/3 ページ)
購読者数の大幅減少が続くスポーツ紙。多くは一般紙の系列で、存続が危ういところまでは来ていない。後ろ盾がない「独立系」として奮闘する東スポが、起死回生の一手として打ち出したのが「ギョーザ」だった。
本業以外でも攻めまくっている東スポ
しかも東スポが売り出している食品は、ギョーザだけではない。ギョーザの成功で味を占めたのか、さらに手を広げていたのである。
例えば、唐揚げだ。しかもこの唐揚げ、その味が評価されているようで表彰も受けている。東スポが自サイトで掲載した手前味噌の記事を引用すると「『第13回からあげグランプリ』授賞式が13日、東京都内で行われ『東スポからあげ』を扱う、東京・品川区のラーメン店『元祖札幌や』が『東日本しょうゆダレ部門』で金賞を受賞した」という。
さらに、「ギョーザ同様、一般的な唐揚げで使用するニンニク(青森県産)の3倍の量を配合。肉は国産、希少部位の『肩小肉(フリソデ、鶏トロ)』を使用し、ジューシーなモモ肉と、食べ応えのムネ肉の“いいとこドリ”の味わいとなっている」と自画自賛している。
また限定販売として、22年11月には「東スポプロデュース ポテトチップス焼き鳥味」まで発売。コラボ商品としてポテチ販売にも乗り出し、東スポが本業以外でも攻めまくっているのである。
これらに加えて、「東スポ驚愕レモンサワー(仮)」「東スポ棒餃子」「島とうがらし入り おつまみ餃子」なども開発されているようで、さらに大阪スポーツ(東スポの関西版)ブランドで、「ポテトチップス『どて煮味』」まで発売する予定らしい。野心的である。
逆境で捨て身の思い切った作戦が成功につながるというのはよく聞く話だが、東スポが新聞存続のために乗り出して成功している東スポ餃子については、ビジネスパーソンにも役に立つかもしれない。東スポブランドの新製品も次々売り出す積極性がこれからどう転ぶのか見ものである。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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