年間売上1億、ギョーザで起死回生の東スポ 次に狙う“鉱脈”とは?:世界を読み解くニュース・サロン(2/3 ページ)
購読者数の大幅減少が続くスポーツ紙。多くは一般紙の系列で、存続が危ういところまでは来ていない。後ろ盾がない「独立系」として奮闘する東スポが、起死回生の一手として打ち出したのが「ギョーザ」だった。
年間1億円を売り上げる「東スポ餃子」
まず東スポが目をつけたのは、ギョーザの販売だった。実は、東スポが販売しているギョーザ「東スポ餃子」が21年の発売から現在まで好評な商品になっており、大手紙の記者によれば、「東スポを支えることになるとまで言われているらしい」という。
往年の東スポを知っている人なら、東スポが「ギョーザはじめました!」と言っても冗談にしか聞こえないかもしれない。知らない人のために「ウィキペディア」で紹介されている東スポ発で話題になった過去記事を見てみると、こんな見出しの記事が出ていた。「マドンナ痔だった?」「人面魚重体脱す」「大仁田爆死」「フセイン米軍にインキン大作戦」「阪神次期監督上岡龍太郎」「宇宙人化石発掘」「ネッシー出産」「地球の電気を泥棒か 電線に止まったUFO」
東スポがギョーザビジネスに乗り出したことについて、東スポ関係者に取材してみた。「ギョーザ販売は少し前に始まっています。東スポの部数が減っているのはもう周知の事実で、なかなか盛り返すのも容易ではなくなっています。そこで、社内でも新たな試みとして、ギョーザ販売が盛り上がっています。年間1億円ほどの売り上げになっていて、減った部数分を埋め合わせる存在になるとの期待もあります」
そもそも、なぜギョーザなのか? その答えは、東スポの幹部が「新聞と言えば競馬、競馬と言えばビール、ビールと言えばギョーザ」という東スポらしいサイクルをひらめいたからだ。そこから一気にギョーザを販売するプロジェクトを実現させたという。確かにこの考えでいけば、東スポギョーザの誕生は必然だったのかもしれない……。
最近では各地でギョーザにまつわる祭りやフェスなども開催されていて、ギョーザは日本人が大好きな料理の一つと広く認知されている。総務省が発表する家計調査でも「世帯当たりギョーザ購入額」が報告されているくらいだ。そんなことから東スポは、栃木県宇都宮市にある食品メーカー・大和フーズと手を組み、ギョーザの販売に乗り出したというわけだ。
ギョーザの味も評判だ。国産のニンニクにこだわり、外国産ニンニクと比べて仕入れ価格で最大10倍も高いという青森県産ニンニク使用している。さらに豚肉も野菜などの具材も国産に限定しているという。「東スポFoods」という専用オンラインショップサイトで購入可能だ。
発売後はPR活動も積極に行っていたため、読者の中にも、東スポ餃子の存在を聞いたことがある人も少なくないかもしれない。しかも22年11月には、『起死回生 東スポギョーザの奇跡』という本まで出版して、活字の出版社である強みもうまく使っている。ただこれも東スポのイメージからすると「悪ノリ」にも見えなくはないが、実際に読んでみると「サクセスストーリー」風な本に仕上がっている。
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