「函館新幹線」ついに公約へ! 想定ダイヤをつくってみた:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/8 ページ)
4月23日の函館市長選挙で当選した大泉潤氏の公約は「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」だった。この構想は3年前に本連載で紹介した内容とほぼ同じだ。しかし現在までの3年間で少し状況が変わっている。そこでフル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみた。
フル編成、分割なしのダイヤを検証する
3年前の吉川氏の案は「東京〜札幌間の列車に函館行き編成を連結して、新函館北斗で分割し、それぞれ札幌と函館に向かう」「函館〜札幌間を乗り換えなしのローカル新幹線で結ぶ」「東京〜札幌間の最速列車は分割せず、新函館北斗〜函館間のシャトル列車を運行する」だった。並行在来線化に当たり、電車の保守コストがかかる「はこだてライナー」は不要。電車の譲渡も受けないし、新幹線電圧用の在来線電車もつくらずに済む。
フル規格新幹線車両の函館駅乗り入れ、分割、併結なしは可能か、ダイヤをつくって検証してみた。
まずは線路状況を確認する。東京〜新函館北斗〜札幌は複線だ。所要時間は東京〜新函館北斗は現行ダイヤを参考とし、新函館北斗〜札幌は50分。これは吉川氏の想定時間で、時速360キロメートルでの運行可能な新型車両を見込んでいる。ならば東京〜新函館北斗間も時速360キロメートルで計算したかったけれど、資料が見つからなかった。
新函館北斗〜函館間は単線のまま。所要時間17分。これは現在の「はこだてライナー」を参考とした。1時間に上下合わせて3本しか走らない。シャトル列車も新幹線車両とし、同一プラットホーム乗り換えとしたかったけれど、運行頻度を高めるためには、シャトル列車を在来線車両とした方がいいかもしれない。複線の片側を三線軌条にするだけだから、在来線は複線運転が可能になる。
列車ダイヤ作成にあたり、take-okm氏作のフリーウェア「OuDia」を使う。時刻表を入力するとグラフ状の列車ダイヤを描画してくれる。時刻表の入力を間違えると、単線なのに駅間ですれ違うとか、複々線ではないのに、走行中の追い越しがあるなどのミスがひと目で分かる。実在のダイヤを再現して車両の運用を調べるとか、駅間で列車を撮影する人が時刻の見当を付けるために使う。もちろん、今回のような架空鉄道にも使える。
OuDiaに駅を入力する。今回は運転に重要な主要駅のみ入力した。列車ダイヤはタテ軸に時間、ヨコ軸に駅を並べる。駅間の長さは実際の距離とは関係なく、列車の所要時間に応じて自動的に決まる。
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