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トヨタ、ホンダ、日産「増益と減益を分けたもの」 大手3社の決算をじっくり解説:池田直渡「週刊モータージャーナル」(7/8 ページ)
自動車メーカー大手3社の決算が出そろった。今後数年の予測を含め、全体の傾向および各社の発表内容を見ていこう。
日産は再びホンダを追い越すか
では、その日産の利益の増減要因を見ていこう。毎度同じで恐縮だが、左端が前期利益、右端が当該期利益である。「為替」の追い風と「原材料」の向かい風はいずこも同じだ。違うのは「販売パフォーマンス」。ここに関しては今回の決算全社との比較でもピカイチである。
まあタネも仕掛けもあって、先ほど書いた通り、これまでが悪かったというのはある。しかし、積極的な新型車の投入で、「台数/構成」のうち構成を伸ばした。台数がダウンしているのは日産の項の冒頭で説明した通りだが、マイナス14.7%もの台数減を、上位グレード販売で押し返したのは見事である。
しかも同一グレード同士でも価格を上げて利益幅を改善し、しかも値引きもしていないことが「販売費用/価格改定」のプラス2616億円から見て取れる。
この図を見ると、外部要因でどうにもならないところは負け越したとしても、頑張れるところでとことん頑張ったことがよく分かる。そして頑張る土壌として、これまでに新型車をしっかり投入してきたことが下支えしているのだ。
ということで日産は、本来の実力から見ればまだまだ数字的に物足りないものの、その戦い方は見事であり、このまま順当に行けば、再びホンダを追い越して、第2位に返り咲く可能性が見えてくる。
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