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新幹線の自動運転 JR東日本、JR西日本、JR東海の考え方の違い杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/7 ページ)

JR東日本とJR西日本は5月9日、連名で「新幹線の自動運転について技術協力します」と発表した。JR東海は翌日の深夜から未明にかけて、自動運転の報道公開と試乗会を開催した。JR東日本、JR西日本、JR東海東海はこれまで、自動運転の試験や実験を行ってきた。しかし、各社で考え方が異なる。

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 鉄道では無人運転を達成した路線がいくつかある。新交通ゆりかもめ、日暮里舎人ライナー、神戸新交通ポートライナーなどだ。これらは新交通システム(AGT、Automated Guideway Transit)と呼ばれている。

 日本初のAGTは神戸新交通ポートライナーだ。神戸市が埋め立て地のポートアイランドを開発するためにつくった。開発の旗揚げとして地方博覧会「ポートビア’81」が開催され、そのテーマが「新しい海の文化都市の創造」であり、導入された交通機関は「新技術を用いた無人運転」で検討された。当初から無人運転を前提として、踏切のない軌道や車両、ホームドア付きの駅設備が設計された。


神戸新交通ポートライナーは無人運転を前提に開発、開業した(08年に筆者撮影)

 AGTの成功体験から、既存の鉄道路線に対する自動運転の可能性が見えた。既存の鉄道路線はAGTと異なり踏切がある。ホームドアがない駅もある。これが安全性に対して不確定要素になりかねない。

 そこで、物理的に完全立体交差で独立軌道とすれば、AGTと同等の安全性が確保できる。あるいは踏切に障害物検知センサーや監視システムを導入してAGT並みの安全性を確保できる。

 既存の鉄道のなかで、AGT並みの安全性を確保しやすい路線は何かといえば、完全立体交差の新幹線と、踏切のない地下鉄である。その意味で、実は在来線よりも新幹線のほうが自動運転に取り組みやすい。

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