「悪気はなかった」は通用しない ハラスメントする人が無意識に押し付ける“思い込み”とは?:ハラスメントの根本(1/3 ページ)
管理職として異動してきたAさん。早くメンバーと親しくなろうと一生懸命コミュニケーションを取りました。ところが、ある日突然、Aさんは人事部から「ハラスメント行為を行った」と呼び出されたのです。
2020年6月に労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が施行され、職場のパワハラ防止措置が大企業に対し義務化されました。中小企業においても22年4月から義務化さています。
また、厚生労働省が発表した「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、労働相談の件数は124万2579件で、そのうち民事上の個別労働紛争相談件数は28万4139件。なかでも「いじめ・嫌がらせ」の相談が8万6034件でトップとなっています。これらのことからもハラスメントに対する意識は年々高くなっているといえます。
管理職Aさんのケース
管理職として異動してきたAさん。メンバーは男女含めて十数人います。Aさんは業務を円滑に行うためにも、早くメンバーと親しくなろうと懇親会を開くことにしました。懇親会では、できるだけコミュニケーションを取ろうと一生懸命話しかけたのです。
女性メンバーに対しては、「皆さんは結婚してるんですか」「お子さんはいるんですか」「旦那さんとはデートするんですか」など、プライベートな話題から仲良くなろうと頑張っていました。懇親会の翌日からは「今日の服装いいですね」「髪型もすてきですね」「今日の化粧も似合ってますね」といった声がけを習慣的にしていました。
一方、仕事もできてメンバーの成長にも関心の高いAさん。早く一人前になってもらいたくて、仕事でミスをした男性メンバーに「そんなんじゃ仕事は任せられないぞ」「何度言ったらできるようになるんだ」「新卒の方がマシだぞ」と叱責をすることが日常的にありました。
ある日突然、Aさんは人事部から呼び出されました。Aさんはなぜ自分が呼び出されているのか全く身に覚えがありません。そんな状況で人事部から「複数名から匿名でハラスメントの被害を受けたと相談がありました。関係者に調査を行った結果、Aさんがハラスメント行為を行ったという判断に至りました」と言われました。Aさんは抗弁したものの、結果的に懲戒処分を受けることになってしまったのです。
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