なぜ容器の中で麺を浮かせた? 「カップヌードル」が“カップ麺界の王者”になれた理由:ロングセラー商品の育て方(3/4 ページ)
1971年に発売された日清食品のカップヌードル。半世紀以上にわたって、カップ麺界の先頭を走り、多くのファンの胃袋をつかむ秘訣は何なのか。担当者に話を聞いた。
50年以上変わらない味とパッケージデザイン
川合: カップヌードルは1971年に発売して以来、麺や味は基本的に変えていません。しょうゆ味をベースにペッパーをきかせた絶妙な味わいで、洋風のコンソメを意識しながら、隠し味にメンマの風味を加えたカップヌードルならではの完全オリジナルな味わいです。
パッケージは、1970年に開催された日本万国博覧会でシンボルマークを制作された大高猛さんがデザインしたものです。インパクトがあり、しかもスタンダードになりうる完成度の高いものであったため、こちらも基本的なデザインは一切変更していません。
――2008年から容器を従来のポリスチレン から紙でできた「ECOカップ」に変更。さらに19年からは「バイオマスECOカップ」に切り替え、環境負荷が少ない容器へと進化しています
川合: 2021年6月には、プラスチック原料の使用量削減のため、従来から使用してきた「フタ止めシール」を廃止し、シールがなくてもしっかり止められるよう開け口を2つにした新形状のフタ「Wタブ」を採用しました。
「フタ止めシール」を廃止することで、プラスチック原料の使用量を年間33トン削減することができました。廃プラスチックによる環境問題に配慮したことはもちろん、ただシールをなくすだけでなく、「Wタブ」という新たな形状のフタを開発し、さらに、その形がネコの耳に見えることから、フタの裏にネコのイラストをデザインするというユニークなプロモーションへ昇華させたことで、大きな話題になりました。
「50年目の大刷新」と銘打ったこのリニューアルは、ロングセラーのカップヌードルにとって非常に大きな決断でしたが、この先もサステナブルなブランドを目指すうえで必要不可欠なことだったと考えています。
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