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なぜ容器の中で麺を浮かせた? 「カップヌードル」が“カップ麺界の王者”になれた理由:ロングセラー商品の育て方(4/4 ページ)
1971年に発売された日清食品のカップヌードル。半世紀以上にわたって、カップ麺界の先頭を走り、多くのファンの胃袋をつかむ秘訣は何なのか。担当者に話を聞いた。
ブランドの鮮度感を保つ秘訣
――ロングセラー商品として維持・発展させていく過程で最も苦労した点を教えてください
川合: 先ほどもお話ししたように、カップヌードルは、基本的な味やデザインをほとんど変えていません。たった3分間で同じおいしさが、いつでも、誰でも、どこでも味わえることが、誕生から50年以上がたった今でも最大の魅力です。一方で、時代の変化に合わせて容器や具材などを進化させています。
また、健康志向の方に向けた「カップヌードルPRO」シリーズや、女性に向けた「世界のカップヌードル」シリーズなど、細分化するニーズに合わせた多様なラインアップを展開していることもポイントです。ターゲットの潜在的な意識をしっかりと捉え、商品に反映しています。
さらに、テレビCMをはじめとするブランドコミュニケーションも欠かせない要素です。ロングセラーになると商品自体が飽きられたり、同じような商品が市場にあふれて飽和状態になることで、ブランドに古臭さが出てきてしまうのですが、カップヌードルは若者を意識したブランドコミュニケーションを時代に合ったアプローチで展開し、楽しさやエンターテインメントを提供し続けることで、ブランドの鮮度感を保っています。
安心してお召し上がりいただける唯一無二の味として、守るべきところは守り、変えるべきところは変えていくことが、ロングセラーブランドにとって非常に重要だと考えています。
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