なぜミンティアのケースに“溝”があるのか 前年比122%で推移している背景:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
新型コロナの影響を受けていた「ミンティア」の売り上げが戻りつつある。移動制限やマスク着用などによって苦戦を強いられていたわけだが、前年比122%で推移している。ミンティアのことを調べていくと、気になる点がいくつか出てきて……。
ミンティアにとっての「敵」
「100点を付けられるような味ではなかった」――。定番のミントやフルーツの味を販売していなかったのかというと、そうではない。満足のいく味ではなかった背景に、商品開発時にこだわった「3つのポイント」が関係しているようなので、紹介しよう。
1つめは、容器がカードケースの形をしていること。2つめは、おいしさとスッキリ感を追求すること。3つめは、100円で提供すること(22年に値上げ。108円→118円に)。「ワンコインで購入できる」というのはキャッチーな響きであるが、開発するうえでさまざまな制約が課せられた。
開発メンバーからは「あれもしたい、これもしたい」とアイデアが出てくるものの、コストの関係で「あれもできない、これもできない」となってしまう。それでも品質を高めるために、どうすればいいのかを考えに考え抜いた。特に、タブレットにとっての“敵”をなんとかしなければいけないという課題があったのだ。
「ん? 敵? 口の中に入れるモノなので、ガムとかアメとかなのかな。最近の若い人の間ではグミが流行っているそうだけど」などと思われたかもしれない。競合商品の話で考えると、そうしたモノになるかもしれないが、品質を高めるための敵というか、邪魔モノは「水分」なのだ。
タブレットに水分が含まれると、カリっとした食感が失われて、すぐに崩れてしまう。食感だけでなく風味も失われるので、味も落ちてしまう。ケースの中に水分(つまり、湿気)を入れないように、開発担当者は何をしたのか。ケースの取り出し口を改良したのだ。
フタの隙間をできるだけなくすには、どうすればいいのか――。密封度を高めるために、なにかできることはないのか――。アイデアを出し合って、少しずつ少しずつ改良を重ねていく。もちろん、その間に、味をよくするためにちょっとずつちょっとずつ手を加えていく。結果、どういったことが起きたのか。
2001年から19年連続で、売り上げが伸びていったのだ。05年には錠菓市場で個数が1位に、07年には売り上げが1位に、19年には過去最高の238億円を達成することに。二冠王? 三冠王? のような称号を手にするものの、冒頭で紹介したように、コロナ禍に急ブレーキがかかってしまった。しかし、今年になってようやくペダルがうまく回り始めたといった状況なのだ。
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