コラム
JRも私鉄も、鉄道会社が「稼ぐ」ためにやるべきこと:鉄道会社は、総合会社だ(2/4 ページ)
鉄道会社の多くは、本業との「シナジー」を気にしないビジネスを展開している。「稼ぐ」ためには何でもやるという姿勢も、ときには大切ではないだろうか。
東京で飲食店を展開するJR九州
JR九州は、新幹線と福岡・北九州エリア以外での在来線事業は厳しくなることを割と早くから自覚していた。その中で、鉄道以外のビジネスに活路を見い出し、「稼ぐ」ことを考えるようになった。その結果、株式市場への上場も果たしている。
首都圏の人がよく目にするのは、JR九州系のホテルと、JR九州フードサービスによる飲食店「うまや」である。同店は九州料理のおいしいお店として知られている。
もちろん、JR九州のエリア内にも「うまや」はあるが、東京にまで進出してきて九州のおいしいものを提供していることは、本業とのシナジーがなくてもビジネスを行うというJR九州の意気込みを感じられるのだ。ほかにも、牛たん専門店「たんや」というのもある。
「うまや」は現在、東京に3軒のお店がある。コロナ禍前は、もっと多くの「うまや」が都内にあったものの、来店客の減少が響いた。それでも、東京にまで出てきて飲食店を大規模に展開するという発想は、ほかのJRにも見習ってほしいと思うものである。
JR九州は以前、「ドラッグイレブン」を傘下に持ち、九州だけではなく沖縄や東京にも店舗を展開していた。だが現在は株式の51%をツルハホールディングスが所有し、残りの49%も5月末にツルハホールディングスに譲渡する。なお東京都の店舗はなくなっている。
鉄道会社が、駅ナカを中心に飲食店や小売りを展開するケースはよくある。しかし、完全に自社の沿線から離れたところでビジネスを行うのは、珍しいのではないか。
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