ザッカーバーグ、メタバースの次は「ブラジリアン柔術」? 経営者が体を鍛えたがるワケ:世界を読み解くニュース・サロン(2/3 ページ)
世界の注目を集めるIT系起業家のイーロン・マスク。一方、主役の座を奪われ、苦戦続きのフェイスブック(現・メタ)創業者のマーク・ザッカーバーグ。彼が心のよりどころにしている意外なものが「ブラジリアン柔術」だ。
ハマったきっかけはコロナ禍
ブラジリアン柔術は、ブラジル生まれの格闘技だ。少し歴史をひもといてみると、もともとは明治時代に日本人柔道家だった前田光世がブラジルに渡り、ブラジル人であるグレイシーの家族に柔術を伝えたことから始まった。グレイシー一族がそれをグレイシー柔術という名で、ブラジル国内で広めた。
1990年になると世界的に知られる総合格闘技大会UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)に進出し、グレイシー一族からホイス・グレイシーが登場して優勝。その後、日本でも兄のヒクソン・グレイシーが活躍するなど知名度が一気に高まった。
ブラジリアン柔術は、基本的に殴るなど打撃による攻撃を使わないながら、「世界最強の格闘技」として知られるようになった。それが米国でも人気を博し、俳優のキアヌ・リーブスやニコラス・ケイジ、アシュトン・カッチャー、チャック・ノリス、女優のスカーレット・ヨハンセン、さらにバスケットボール選手だったシャキール・オニールなどがブラジリアン柔術を習っている。
そんな人気格闘技に、いかにもPCの前でプログラミングにいそしんでいるというイメージのザッカーバーグがハマっているというのである。
最初にその事実が明らかになったのは2022年9月のことだった。米国人格闘家で、現在はポッドキャスト番組を主催しているジョー・ローガンのインタビューに登場したザッカーバーグは、柔術にのめり込むようになったと語っている。というのも新型コロナ禍でサーフィンなどをしていたが、「結局総合格闘技にハマってしまった」という。「初めて練習に参加して5分で『なぜこれまでこの格闘技を知らなかったのだろうか』となった」そうだ。
そして23年5月7日には、バレないように「マーク・エリオット」(エリオットはザッカーバーグのミドルネーム)という名前でカリフォルニア州で行われたブラジリアン柔術大会にエントリーし、大会ではメダルを2つ獲得したとして、自身のフェイスブックに写真を掲載した。
ザッカーバーグは、柔術が、現在彼が置かれた逆風の中で、ビジネスでもプラスに働いていると語っている。最近の苦しい状況から脱するために、柔術からビジネスについても学んでいるらしい。
柔術は必要に応じて自己防衛に活用できる格闘技だが、同時に「表紙から本の中身を判断するな」という教えがある。表面的なものでジャッジするのではなく、しっかりと中身や本質を知ることが大事だということだ。
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