コロナ後に乗客が「戻る」「戻らない」 鉄道会社の“読み”はどちらが正しかったのか:戦略を検証(1/4 ページ)
コロナ禍で減便をした鉄道会社もあれば、計画通り運行した鉄道会社もある。人の動きが戻ってきた今、どちらの戦略が正しかったといえるのか。
新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したのは5月8日のこと。その直前のゴールデンウイークには、JRの混雑がコロナ前とほぼ同等になった。
『日本経済新聞電子版』(5月8日付)の記事によると、JR旅客6社の4月28日から5月7日までの新幹線および在来線特急の利用者数は、前年同期比32%増に当たる約1100万人だったという。2018年度に比べて94%の水準である。
このところ、鉄道の混雑が目立っている。コロナ禍に入ってから本数を減らしたところに、乗客が戻っているのだから、混雑が目立つのは当然のことである。
先日、用事がありJR北海道の特急に乗った際、平日の昼間でも指定席はほぼ満席だったことに驚いた。ちなみに、羽田空港や新千歳空港も混雑しており、多くの人が移動していることが分かる。
続々と出てくる「鉄道混雑対応」のニュース
JR東日本と富士山麓電気鉄道(富士急グループ)は、新宿駅から富士急行線の河口湖駅を結ぶ直通の特急電車「富士回遊」を、夏の観光シーズンに増発すると発表した。富士山エリアにインバウンドの観光客が押し寄せており、それに対応するためだ。
コロナ禍前の富士山周辺は、多くの外国人観光客が押し寄せていた。大月駅や河口湖駅の窓口では多くの外国人観光客の対応に追われ、駅周辺も人であふれていた。そんな状況が戻ってきたのだ。
東京メトロ銀座線を見ると、コロナ禍は平日昼間と休日の大部分は5分間隔に減便していた。しかし利用者が増加したため、4月29日からこの時間帯を4分間隔にした。コロナ前は2分から3分間隔だったから、かつてほどではないものの、乗客がそれなりに戻ってきていることは確かだ。
東京メトロ銀座線が減便していたとき、赤坂見附から神田あたりの範囲で混雑が激しかったため、5分間隔だったときには正直なところ窮屈だった。最近は混雑度が増しているので、東京地下鉄はそれに対応する必要がある。
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。 - 2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。 - 不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。 - 東京メトロ「有楽町線」「南北線」の延伸で、どうなる?
東京メトロ有楽町線と南北線の延伸が決定した。コロナ禍で事業環境が大きく変化する中、東京メトロが計画する今後の戦略とは。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.