覇者イオン、コスモス、カインズに勝てるのか 中堅中小の「合従軍」戦略:小売・流通アナリストの視点(2/4 ページ)
スーパー、ドラッグストア、ホームセンターの上位企業の多くがM&Aで規模を拡大してきた。上位企業による下位企業の買収というのが自然と多くなる一方、下位企業が同盟するように経営統合して対抗するというパターンもある。
ドラッグストア、ホームセンターの「秦」はどこか
ドラッグストア業界は大まかにいえば、マーケットは大都市部(首都圏、京阪神)と地方に二分されている。大都市部の覇者はマツキヨココカラ、地方の覇者はウエルシア、ツルハ、コスモスという構造なのであるが、必ずしもトップシェアだからといってウエルシアの役回りが、最強の「秦」だというわけではない。この業界における脅威とは4位ながらM&Aをすることなく、ここまでシェアを拡大してきたコスモス薬品であろう。
日本の西端である九州で誕生して、中四国、近畿、中部へと店舗網を物流網の整備とともに東進を続けるこの会社が来た地域ではM&Aが加速する。フード&ドラッグという新たな業態を確立したコスモス薬品は、同業と食品スーパーから着実にシェアを奪いつつ、着実に店舗数を増やし続けてドミナントでライバル企業を圧倒する。いまや、ドラッグストア業界は、対コスモス戦のために、ウエルシア、ツルハなどの旗の下に集結して対抗しているという様相になった。
ちなみに、コスモスは、地方ロードサイドを得意としているため、大都市部の覇者であるマツキヨココカラにはあまり影響がなく、高みの見物を決め込むことができるようである。
ホームセンター業界において、コスモスに相当するのは最大手カインズであり、業界における競争力、成長力は他を圧倒する。業界2位のDCMホールディングスは、ホーマック(北海道、東北)、カーマ(中部)、ダイキ(中四国)のシェア上位企業3社を中心に生まれた「合従軍」であり、他にもいくつもの地場ホームセンターを仲間に迎えることでシェアを拡大してきた。
しかし、カインズはハンズ以外には、ほとんど同業M&Aをすることなく、自前の出店だけで合従軍DCMのシェアを抜き返してしまう。この業界では、カインズへの対抗を軸にM&Aは展開してきたし、これからもそうなるだろう。
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