エンジン車の燃費は向上できるのか まだまだできることはある:高根英幸 「クルマのミライ」(6/6 ページ)
クルマの燃費性能は、この20年ほどで急速に向上した。「もう限界でしょ」と思われている人もいるかもしれないが、まだまだできることはある。例えば……。
高速道路の積極利用で渋滞を減らす方法もある
日本の高速道路は償還期間が50年間も延長され、事実上無料化は反故(ほご)にされてしまった。であれば、しばらくは国民にもっと安く利用させてもいいのではないだろうか。
それによって渋滞が減り、なおかつ経済が活性化されれば、一石二鳥だ。そのために必要なのは、「高速道路を何度乗り降りしても、初乗り料金は1日1回しかかからないようにする」という割引制度だ。
早い話、かつて導入された休日1日乗り放題を復活させる、ということである。以前導入された1000円乗り放題は、一度高速道路に乗れば1000円でどこまでも行けるというものだが、高速道路から一般道へ降りれば再び1000円かかるため、どんなに長い渋滞でも高速から降りずに我慢して乗り続けることで、地獄の渋滞を引き起こした。
これを1回1000円ではなく、例えば1日2000円で何度でも乗り降り自由という方式にすれば、週末の一般道の渋滞は大幅に減少され、ドライバーのストレスも大幅に軽減されるはずだ。
そもそも途中の市街地を走らずに目的地へと行ける高速道路は、燃費を向上させるバイパスでもある。高速道路が渋滞しているときに利用するのは逆効果であるが、交通情報も充実した現在では上手に活用することで燃費も時間も節約できる。
無駄にクルマを走らせることは燃料の無駄遣いになるが、クルマを走らせることや移動することでストレスから解放されるのであれば、それは生きていく上で重要なことだ。地球環境に配慮しつつ、クルマでの移動を楽しむ。それはEVとて、化石燃料で発電し生産や走行をしている段階であれば、同じことだ。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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