「新NISA」が証券業界を崩壊させる意外なワケ LINE証券の廃業は序章か:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
日本の証券業界において、大きな波紋を呼んでいるのがLINE証券撤退のニュースだ。このケースを単に経営統合したからと安易に理解してしまうと、今後の業界における問題点を見過ごしてしまう危険性がある。そのため、今回は24年から始まる「新NISA」が業界に与える影響について深掘りする。
日本の証券業界において、大きな波紋を呼んでいるのがLINE証券撤退のニュースだ。LINE証券は、2019年11月にサービスを開始した新興のスマホ証券で、LINEを通じて株式や投資信託の取引を可能にしたことで注目を集めていた。しかし、23年6月12日にはFXを除く金融商品サービスの取り扱いを順次停止していくことを発表。24年中には野村證券への移管も完了する見通しだ。
経営統合は理由の1つでしかない LINE証券の廃業
LINEの金融ビジネスを巡っては、みずほ銀行と組んでいたLINE銀行も3月に頓挫するなど、事業再編の動きが加速している。もちろん、このような再編の背景として無視できないのが、LINEとYahoo!Japanが経営統合して誕生したZホールディングスという親会社の存在もあるだろう。
同社の傘下には「PayPay銀行」や「PayPay証券」のように、グループ内競合の問題もあった。LINE証券・LINE銀行の構想はいずれも経営統合前に発表されたもので、Zホールディングスとしてはグループとして1つのブランドに集約させたいという思惑もあったのかもしれない。
LINE証券自体は、「株のタイムセール」といったユニークな企画と、初心者でも使いやすいUIが好感されたこともあり、口座数自体は伸びていた。LINE側は、同社の証券ビジネスを取り巻く経営環境の変化や収益性の観点で撤退に至ったと説明する。
このケースを単に経営統合したからと安易に理解してしまうと、今後の業界における問題点を見過ごしてしまう危険性がある。そのため、今回は24年から始まる「新NISA」が業界に与える影響について深掘りする。
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