甲子園の何が問題なのか 元「エースで4番」の学者が語るマネジメント論:「任務は遂行する」「部下も守る」(2/4 ページ)
「『任務は遂行する』『部下も守る』 『両方』やらなくっちゃあならないってのが『幹部』のつらいところだな」――会社にとって「エースで4番」ともいえる管理職。マネジメントに悩む人も多い。ヒントを「エースで4番」として甲子園に出場した桐蔭横浜大学の渋倉教授に聞いた。
厳しい上下関係の中で、渋倉さん自身、スポーツは理不尽なものに耐え、殴られ蹴られしながら勝利を目指すものだと考えるようになっていったという。転機は大学時代だ。授業で教授が「スポーツとは楽しいものである」と話しているのを聞いた。
これまでの経験から、「スポーツが楽しいなんて、間違っている」と感じた渋倉さんだったが、学習をしていくにつれ、自身がいた環境に疑問を持つようになっていった。その後、学問と実践の場をつなぐために、研究者の道を歩んでいく。
「侍ジャパン」栗山監督が優れていた点
最近は、少しずつではあるがスポーツ界のマネジメントも変わりつつある。
日本代表が3大会ぶりの優勝を果たした今春のワールドベースボールクラシックで、選手だけでなく、監督を務めた栗山英樹さんに大きくスポットライトが当たったことは記憶に新しい。栗山さんのマネジメントについて、渋倉さんは「何より選手たちへのリスペクトが優れていました」と分析する。
「監督が選手の上でも下でもない、フラットな関係性を築いていたのがポイントだと感じます。選手たちが自分よりも優れた能力や知識を持っていると認め、支援し、成長してもらう。こうした一方通行ではないマネジメントで、選手も主体性を持ってプレイできていたのではないでしょうか」
背景には、スポーツの世界で主流になりつつある「プレイヤーズセンタードコーチング」と呼ばれる考え方も影響していそうだ。指導者と選手が上下関係を結ぶのではなく、選手を中心として周辺に指導者や関係者がネットワークのように位置し、相互に影響を及ぼしながら成長していく考え方だ。
関連記事
- やや過酷? 小学生が1泊2日、仮眠4.5hで「リアルな仕事体験」 近鉄が発表した理由
近鉄が小学生向けに仕事体験の商品を発表した。1泊2日で、その間の仮眠時間は4.5時間と、ややハードな内容になっている。どんなことをするのか。 - 還暦を迎える人の貯蓄額に格差、平均はいくら?
PGF生命は、今年還暦を迎える1963年生まれの男女に「還暦人に関する調査」を実施した。現在の貯蓄額を聞いたところ……。 - マスク着用率が高い都道府県 3位「愛知県」、2位「岐阜県」、1位は?
第一三共ヘルスケアは、全国47都道府県の男女を対象に「『脱マスク』と健康意識に関する実態調査」を実施した。都道府県別にマスク着用率を見ると、着用率が最も高い都道府県1位は「広島県」(72.0%)だった。 - 安くて栄養価が高いフルーツ 3位「オレンジ」、2位「柿」、1位は?
価格に対して栄養価が高い、費用対効果ならぬ「費用対栄養価」が高いフルーツは何だろうか。日本バナナ輸入組合(東京都千代田区)と商品開発を手掛けるSmile meal(東京都江東区)が共同で調査を実施した。 - 「コストコ」専門のネットスーパーが人気 なぜオープン前に会員が1万人を超えたのか
コストコの商品を仕入れて、それを販売する店がじわじわ増えている。テンバイヤーみたいに感じるかもしれないが、悪いことをしているわけではない。コストコは卸売業でもあるので、そうしたことができるわけだが、その中でも気になる店が登場した。どういった特徴があるのかというと……。 - 子育てママがよく食べるランチ 「ラーメン」「うどん」を抑えた1位は?
永谷園(東京都港区)は、小学生以下(0〜13歳未満)の子どもがいる20〜30代のママ350人を対象に「子育てママのランチ事情」を調査した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.