「内定取り消された」投稿が物議 SNSで社名を晒すとどうなる? 法的リスクは:弁護士に聞く(3/3 ページ)
企業から「内定を取り消された」とする投稿がTwitterで注目を集めている。投稿者は社名の公開を示唆しているが、法的リスクはあるのか。労働法に詳しい弁護士に見解を聞いた。
「求職者に誠実に向き合う姿勢が必要」
──今回のように、SNSでメールがさらされるリスクがある。企業は求職者にどのような姿勢で臨むことが必要か。加えて、今回の騒動でメールでの通知にリスクがあると企業が判断した場合、求職者への重要な通知を口頭に切り替える可能性がある。企業に対して求職者側が気を付けるべきこととは。
佐藤氏: 企業側は、法令順守を徹底することが大切。企業には、採用活動のあらゆる場面で、求職者に対して誠実に向き合う姿勢が求められる。
求職者に対してハラスメントにあたるような言動をしないことはもちろん、求職者の入社に対する期待が高まった段階で、正当な理由なく、採用の見送りをしないことも重要だ。たとえ内定に至っていなくても、あと一歩で内定という段階まで来ると、求職者の入社に対する期待は法的に守られ、それを裏切れば違法となり、企業側に損害賠償責任が認められることもある。やむを得ず採用の見送りをする場合には、しっかりと事情を説明することを推奨する。
企業側が法令を守り、道義的にも問題のない対応をしていれば、仮に求職者に対して送ったメールなどがSNSでさらされたとしても、企業にダメージはない。もし、企業イメージを下げるような内容を捏造(ねつぞう)して、さらされるなどした場合は、毅然と法的措置をとればよい。
企業側は、労働契約を結ぶ際、労働条件をはっきり示す法律上の義務があり、特に重要な条件については口頭ではなく、原則、書面を渡さなければならない。このように法律で定めがある場合には、口頭での通知に切り替えられないこともある。
法律で定めがない事柄についても、重要な事項を口頭での連絡で済ませると、後から「言った、言わない」の水掛け論になるリスクがあり、それは企業にとっても、求職者にとってもデメリットになる。
従って、企業側も安易に口頭での説明に切り替えるべきではない。求職者側も、口頭での説明だけでは不安があれば、書面に基づいた説明を求めたほうがいい。
なお、企業から不当な扱いを受けた場合、求職者はSNSでさらすのではなく、大学のキャリアセンターや都道府県労働局などに相談することをおすすめする。
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