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大企業の女性役員「2030年に30%以上」は実現できる? 政府目標に潜む落とし穴:働き方の見取り図(1/5 ページ)
政府は大企業の女性役員比率を2030年までに30%以上に引き上げる目標を掲げた。女性の就業状況には構造的な壁が立ちはだかる。政府目標は本当に実現可能なのか――。
政府は6月13日に決定した「女性版骨太の方針」で、東証プライム市場に上場する企業の女性役員比率を2030年までに30%へと引き上げる目標を掲げました。読売新聞は「プライム上場企業の女性役員比率、2030年までに30%以上へ…『女性版骨太の方針』決定」と題して報じています。
ネットでは「なんのために女性役員比率を上げるの?」「能力があってやりたい人がなるべき」「国家権力が強制しようとしている」――など、戸惑いの声が見られます。そもそも政府は、女性の管理職比率を30%に引き上げる目標の期限を2020年から30年に引き延ばしたばかりです。それなのに、同じ期限で女性役員比率も30%にする目標を掲げるというのは、奇妙な印象さえ受けます。
女性を取り巻く環境は、一筋縄ではいかない難題だらけです。現在の就業状況には構造的な壁が立ちはだかり、女性が管理職希望を回避する傾向も見られます。2030年までに女性役員比率30%という目標は、本当に達成できるのでしょうか。
女性の管理職登用を阻むジェンダーバイアス
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