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トヨタが反転攻勢に出た? 「手遅れ」と言う人が知らない、真の実力と新たな課題高根英幸 「クルマのミライ」(4/7 ページ)

6月13日、トヨタが現在開発中の電動化技術などを報道陣に公開した。「Toyota Technical Workshop2023」と銘打ったイベントで、最新技術のおよそ9割を明らかにしたのである。最も注目が集まったのは……。

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トヨタとテスラの違い

 前述の通り、バイポーラ型電池のノウハウはトヨタグループだけがもつ強みなのである。他のEVメーカー、電池メーカーがリチウムイオンのエネルギー密度を高めることばかりに熱中する中で、ニッケル水素の可能性、電池の構造をとことんまで追求したことが、これからのトヨタの強みになってきた、ということなのである。

 技術の確立と実用化はイコールではなく、量産化に向けた生産方法の確立という課題もある。実験室レベルでは製作や実現は容易でも、大量に生産ししかも品質を安定させるには、別次元の技術とノウハウが要求されるのだ。

 全固体電池についても、充放電を繰り返すことにより固体電解質が収縮してしまうという問題の解決にめどがついたらしく、以前はまずハイブリッド車に小容量のバッテリーモジュールを搭載する計画だったものを改め、いきなりBEVに搭載して登場させるという。

 ライバルメーカーたちも、同じような計画を発表しているが、テスラでさえ大風呂敷を広げて信者を増やし予約金を集めるというビジネスモデルを展開しているため、計画の実現性には「?」マークが付く場合も多い。

 それに比べてトヨタは発表した計画の実行力の高さには定評がある。むしろライバルメーカーたちはトヨタが発表した計画によって尻を叩かれる事態になったと見ることもできるだろう。


全個体電池のプロトタイプ。ここまで大容量な全個体電池はまだどこも量産には成功していない。これを1つのセグメント(モジュール)として、いくつものセグメントを組み合わせて搭載されることになる

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