YOASOBI「アイドル」国際チャート1位の快挙に学ぶ、日本の音楽が世界で勝つ方法(4/6 ページ)
YOASOBI「アイドル」がリリース後、国内のビルボードジャパンのチャートで8週連続で首位を獲得。2位以下に大きな差をつけてトップを独走している。日本の音楽が世界で勝つ方法を考察する。
世界のビルボードチャートを明確に意識
さらに興味深いのは、YOASOBIが明らかに世界のビルボードチャートを明確に意識していると思われる点です。
象徴的なのは、今回の“Global Excl. U.S.”の1位獲得の大きな原動力となったと思われる、英語版「Idol」のリリースでしょう。
YOASOBIは、これまでも複数の楽曲を英語版にしてYouTubeにアップしてきましたが、今回は従来に比べると異例のスピードで英語版も公開。5月6日にYOASOBIの公式Twitterに収録中の様子の動画がアップされていたことを考えると、急きょ前倒しで収録することにしたのかもしれません。
その結果、この英語版はYouTubeでは1週間で1000万再生されるなど大きな話題になります。
(参考:「YOASOBI」英語版「Idol」が配信開始、なぜか日本語に聞こえる“空耳”マジックで海外ファン「完ぺき」「スペイン語版待ってる」)
実は日本と異なり、ビルボードチャートのような海外のチャートでは、アレンジ曲や多言語曲なども合算してチャートに反映されるというのがポイントです。
これにより、一旦グローバルチャートで9位から10位へと落ち着きを見せていた「アイドル」のランキングも9位にアップし、“Global Excl. U.S.”での1位獲得という快挙を成し遂げる結果になっているわけです。
なお、ビルボードチャートの分析を日々されているイマオトさんのブログによると、海外のチャートは金曜が集計期間初日であることが多いため、今回のYOASOBIの「Idol」も明らかにそれを意識した形で金曜にリリースしていたようです。
(参考:YOASOBI「アイドル」がGlobal Excl. U.S.を初めて制した理由、そしてYOASOBI側の巧さに触れる)
しかも、YOASOBIの公式アカウントは、冒頭で紹介した“Global Excl. U.S.”の1位獲得のツイートを、米国の元ツイートが行われた16分後の午前5時45分という早朝にしています。明らかに、チャートの上位ランク入りを確信して、早朝の発表を待っていた、と考えられるわけです。
関連記事
- ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。 - 映画『スーパーマリオ』の大ヒットが予感させるゲーム映画の黄金時代
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットが続いている。この作品は単なるヒット映画の一つとしてではなく、ゲーム映画の黄金時代の扉を開いた映画として歴史に名を残す可能性が高い。 - 異次元ヒットで世界14位 YOASOBIの「アイドル」は日本の音楽業界の新しい扉を開くか
アニメ『推しの子』の主題歌に起用された、YOASOBIの新曲『アイドル』が、異次元のスタートダッシュに成功している。ビルボードジャパンの総合ランキングで初登場で総合首位、2週目も2位に2倍以上の大差で2週連続総合首位となった。 - YOASOBI新曲『アイドル』、『推しの子』主題歌で大ヒット 『ゲッターロボ』主題歌とのMAD動画も話題
アニメ『推しの子』の主題歌に起用された、音楽ユニットYOASOBIの新曲『アイドル』のPV動画再生数が急激に伸びている。公式YouTubeチャンネルに4月13日に公開したPVは、約1ヶ月で8600万再生を記録。累計1億回突破も射程圏内だ。 - 大反響の「ゼルダの伝説」最新作にみる「クラフト」ゲームの新時代
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」が発売。発売後3日間で世界販売本数1000万本を突破し、大きな話題になっている。ヒットの一因は「クラフト」にある。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.