”スモーキー”なハイボール缶が100万本を突破した、3つの理由:好みが分かれるのに(2/5 ページ)
国内発のスモーキーハイボール缶「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」が、累計販売本数100万本を突破した。これまで市場になかったジャンル、かつ355ml缶で327円と高価格帯。チャレンジングな製品にもかかわらず、なぜ売れているのか。
風味の強い高スペックのハイボール缶
1862年創業、1952年よりウイスキーの製造を開始した若鶴酒造社の5代目である稲垣氏。東京のIT企業での勤務経験を経て、15年に地元富山に戻り、16年に家業の経営を引き継いだ。ウイスキーについて猛勉強するなかで、17年の年末に「スモーキーハイボール缶」を構想し始めたという。
「スモーキーなウイスキーは、ややマニアックで好き嫌いが分かれるので、大衆向けの製品としては需要がないと考えられていました。でも、自分でウイスキーを飲むようになると、主流の味だけでは物足りないと感じるように。近年ウイスキーを飲む層が広がっている現状を踏まえると、同じような感覚の人がいるのではと思ったんです。
加えて、自宅でもバーで飲むようなクオリティーのハイボールを飲みたいけれど、氷・ウイスキー・炭酸を用意して手間をかけてつくるのは面倒でした。仕事から帰ってきて、すぐ飲める缶タイプがあればと。要は自分が欲しい商品だったんです」
ウイスキー好きである自身の欲求から、スモーキーハイボール缶に潜在的なニーズがあると考え、開発に着手。1年ほどの期間を経て、19年3月に「HARRY CRANES Craft Highball」(後の「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」)を発売した。
同製品には、いくつかのこだわりがある。まず、香料やレモンスピリッツなどを加えず、ウイスキーとソーダだけでつくっていること。原酒となるウイスキーのポテンシャルを生かすためだ。
ウイスキーには風味が穏やかで低コストなグレーンウイスキーと風味が強く高価格なモルトウイスキーの2種類がある。この2つをブレンドしてブレンデッドウイスキーがつくられるわけだが、同製品で使っている原酒はモルトウイスキーが主体のブレンデッドウイスキーだ。つまり、風味が強くスペックが高い。
さらに、缶に閉じ込めても爽快な飲み口を失わないために、炭酸の強さとアルコール度数のベストな組み合わせを細かく探った。結果的に強炭酸で、アルコール度数は高めの9%にしている。
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