デリカミニ絶好調 三菱がeKクロススペースの失敗から学んだこと:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
三菱自動車の新型車「デリカミニ」が、発売前の予約だけで1万6000台を突破する絶好調ぶりです。ですが、デリカミニは新型モデルであって、新型ではありません。なぜでしょうか?
三菱自動車が注目の新型車「デリカミニ」を発売しました。背の高いボディーに両側スライドドアを備えたスーパーハイトワゴン。今、最も売れ筋の軽自動車のジャンルに属しています。
その名称から、三菱自動車で人気の高いミニバン「デリカD:5」の弟分だと分かります。かつて同社は、人気の大型SUVの弟分となる軽自動車「パジェロミニ」という人気車を生み出しました。今回のデリカミニは、そのヒットを思い起こさせるいいネーミングではないでしょうか。
兄貴分であるデリカD:5はミニバンでありながら、悪路走行を得意とするのが魅力です。同じ名前を与えられたデリカミニも悪路に強いことが期待できます。実際に試乗会に参加したところ、マイルドハイブリッドらしいモーターアシストが効いており、トルクフルでピックアップがよく、しっかり走ります。乗り心地も上々で、非常に好印象なものでした。
売れ筋のジャンルに属し、知名度の高い上位モデルの名前を持ち、走りの実力や乗り心地も上々。これは売れそうだなと思っていたところ、すでに発売前の予約だけで1万6000台を突破しています。これは、月間販売目標2500台の6倍を超える数字です。
2022年度における三菱自動車の軽自動車の販売台数は、全ての「eKシリーズ」(eKワゴン、eKクロス、eKスペース)を合わせても3万台弱しかありません。その半数以上の予約がデリカミニという1モデルで獲得できたのですから、三菱自動車としても、文句なしの好調なスタートといえます。
関連記事
- 大ヒット「N-BOX」はF1から生まれた ホンダがF1に求める「名誉」以外のもの
5月24日、ホンダが「2026年からF1へ復帰する」と発表しました。ホンダのF1復帰は、これで都合4回目。ホンダがF1に挑戦し続けるのは、どのような理由があるのでしょうか。 - スズキ、ダイハツ、トヨタが軽商用EVを共同開発! 驚きのニュースが飛び出た背景
ほとんどの自動車メーカーがEVを発売しています。ところが、その売れ行きはなかなかに厳しく、現状、日本でEVはさっぱり売れていません。一方で、EVが有望なジャンルも存在します。 - 絶好調のキャンピングカー業界 過去最高の売上を支えるクルマや購入層は?
今、キャンピングカー業界が絶好調です。日本RV協会が発表した「キャンピングカー白書2023」を基に、キャンピングカーがどれだけ売れているのか? どんなキャンピングカーが人気なのか? どのような人が、どのように使っているのか? などをひもといてみましょう。 - 「CX-60」好調のマツダ EV時代にエンジン車へこだわるのはなぜか
22年秋に発表された「CX-60」や、売れ行き好調な「ロードスター」を擁するマツダ。過去に何度も絶体絶命の状況に陥った同社の“七転び八起き”な歩みを振り返る。 - 発売から3カ月 新型クラウンは売れているのか?
今年の7月に発表された新型クラウン。この秋からは、第一弾となる「クラウン(クロスオーバー)」の販売が開始されました。どれだけ売れているのでしょうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.