“期待外れ?”の京阪電鉄中之島線はこのままなのか 再生のカギは2つ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
京阪電鉄中之島線は、大阪市の中之島地区を東西に貫く約3キロメートルの地下路線だ。大阪中心部の東西交通と、中之島西部地区再開発の期待を受けて建設されたが、その期待に十分に応えられずに今日に至る。しかし、今度こそ使命を果たせるかもしれない。
京阪電鉄「起点駅の混雑と増発の制限」
京阪電鉄のターミナルの淀屋橋駅は中之島の南側、水運で栄えた場所にある。その前は天満橋が起点だった。
京阪電鉄はもともと、淀川の西側を通る官営鉄道(現在のJR京都線)に対抗し、淀川の水運の交通需要を引き受ける目論見で建設された。だから当初の計画は江戸時代から水運で栄えた中之島の南側、高麗橋に起点をつくりたかった。
しかし大阪市の意向で市電区間中心部に民間鉄道の建設は許されず、1910年に天満橋駅を起点として開業した。高麗橋より少し京都寄りの場所だ。
天満橋駅は大阪市電と接続できたから起点としては悪くない。しかし、水運で栄えた淀川周辺のにぎわいは、鉄道が通じた梅田や難波へ移ってしまった。もはや天満橋は鉄道の起点として魅力に欠けた。京阪電鉄はもっと都心へ乗り入れたいと考えていたけれど、なかなか認められなかった。そして1963年に淀屋橋駅まで延伸し、地下鉄御堂筋線と接続した。
地下鉄御堂筋線は大阪市の南北を結ぶ基幹路線だ。その淀屋橋駅に接続できたから、京阪電鉄本線の乗客も順調に増えていく。そこで新たな問題ができた。淀屋橋駅の容量不足だ。
淀屋橋駅は地下駅で、北側が土佐堀、南側はビルが建つ。そこに挟まれた道路の地下につくられた。プラットホームは1面のみ。その1部を切り落として線路を3本配置した。そして最も長い線路に2本の列車を縦列に停めることで4本の列車を配置できた。
縦列停車の奥の列車は手前の列車がいないときしか発車できないから、高頻度運転に制約がある。そして増発が難しい。さらに困ったことに、4本停められる乗り場のうち、3本は8両編成まで、残り1本は7両編成までという制限があった。将来の輸送力増強のために全列車を8両編成にしたくても不可能だ。増発も長編成化もできず詰んでしまった。
この「起点駅の混雑と詰み」は大手私鉄の多くの路線でも解決すべき課題だった。関東の大手私鉄は「都心側の分岐と地下鉄直通運転」で解決している。例えば小田急電鉄は代々木上原で地下鉄千代田線に乗客の一部を流した。東武鉄道の伊勢崎線は北千住から地下鉄日比谷線に、押上から地下鉄半蔵門線に乗客を流した。その結果、複々線区間で増発しても都心部で受け止められるようになった。
京阪電鉄の淀屋橋問題をどうするか。直通したい地下鉄計画はなく、淀屋橋も拡張できない。そこで生まれた構想が中之島延伸だ。天満橋から分岐して中之島に向かい、新しいターミナルをつくればいい。これと本線の複々線化によって列車の運行本数を増やせる。
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